研究課題/領域番号 |
22K11635
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
井谷 惠子 京都教育大学, 教育学部, 名誉教授 (80291433)
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研究分担者 |
関 めぐみ 甲南大学, 文学部, 講師 (20793045)
井谷 聡子 関西大学, 文学部, 准教授 (30768263)
三上 純 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 助教 (10993826)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 体育カリキュラム / ジェンダー / セクシュアリティ / 体育嫌い / フォーカス・グループ・インタビュー |
研究実績の概要 |
本研究は、批判的教育研究の立場から権力的マイノリティとしての「体育嫌い」の声に注目し、新たな体育カリキュラムの方向性について示唆を得ることを目的としている。研究内容は、次の2点である。 (1) クイア・ペダゴジーや身体・健康リテラシー、及び先行的な実践について調査を行い、新たな体育カリキュラムへの示唆を得る。 (2) 指導者や体育・スポーツ指導者志望者、セクシュアルマイノリティの支援者などのフォーカスグループを作り、「体育嫌い」の人々の声やその背景について のグループワークを通して、学校体育の改善策を探る。 (1) に関しては、文献やウェビナーなどでの資料収集のほか、月1度開催する研究会においてゲストレクチャーを招聘し、意見交換を通じて検討を進め、現地でのフィールド調査を実施した。このうち「飛騨シューレ」の実践については、紹介用のリーフレットを作成し、配布した。 (2) に関しては、倫理審査の承認が得られたことから、a)体育を担当する教員、b)体育・保健体育教員を志す大学生、c)学校のジェンダー・セクシュアリティ規範の改善を追求する専門家 を対象としたフォーカス・グループ・ディスカッション(このうち(c)については個人インタビュー)を実施した。a) b)については、分析の方針について検討を進めた。c) に関しては、協力を得られた9名の専門家についてインタビューを実施し、それらの結果を取りまとめた。また、c) に関しては、体育・スポーツ指導の実践の場における対応の改善が急務となっていることから、取りまとめた内容をブックレットとして作成、配布した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的 (1) に関しては、対象とした実践について、ゲストレクチャーやフィールド調査などによって検討を進め、このうち「飛騨シューレ」については、紹介用リーフレットを作成・配布した。 研究目的 (2) については、フォーカス・グループ・インタビューを2年度前半に完了した。専門家9名については、いずれも非常に多忙な状況であり、それぞれ特有で貴重な活動をしていることから、個人インタビューに切り替え、得られた情報の取りまとめをすることとした。取りまとめた内容は、体育・スポーツの場におけるセクシュアル・マイノリティへの対応の改善に資するものと判断し、ブックレットの作成・配布を行なった。体育教員及び志望学生によるフォーカス・グループ・インタビューについては、分析を方針を検討し、分析は次年度に持ち越すこととした。 研究成果の公表については、口頭発表1件、「体育嫌い」に関する依頼講演(Ninaru、筑波大学)2件、雑誌への寄稿2件、リーフレットの作成・配布1件、ブックレットの作成・配布1件、ウェブサイトの更新を行うなど、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的(2) のうち、a)体育を担当する教員、b)体育・保健体育教員を志す大学生 を対象としたフォーカス・グループ・ディスカッション については、分析を進め、研究の公表につなぐことを急ぐ方針である。 研究発表の予定は、現時点で、日本体育科教育学会第29回大会、及び日本スポーツとジェンダー学会第23回大会シンポジウムの2件である。また、「体育嫌い」に関する書籍の出版を準備しており、今年度中に刊行予定である。 2024年度は最終の3年目になるため、成果を取りまとめ、報告書の作成や研究成果の社会還元などに注力する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額については4名の研究者のうち2名の額がやや大きくなっている。この理由として、令和5年度後半から、研究分担者2名が在外研究に赴くこととなり、予定していた海外出張の経費が軽減できたことが影響している。また、これに関連して、分担者が支払う予定であった謝金などについて、研究代表者が事務処理を行うことが多くなり、代表者の支出が多くなり、分担者の支出が減少した。 最終年度においては、研究分担者の帰国に伴い、前年度の偏りを是正する見込みである。
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