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2022 年度 実施状況報告書

がん悪液質の日本人における診断基準の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K11839
研究機関愛知医科大学

研究代表者

森 直治  愛知医科大学, 医学部, 教授 (70625540)

研究分担者 天野 晃滋  国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (40573093)
前田 圭介  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (50775179)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード悪液質 / 診断基準 / 日本人 / がん / 筋肉量 / 筋力 / 体重減少
研究実績の概要

研究 ①日本人のがん悪液質診断基準値の検討、がん悪液質診断の代替指標の検討
日本人のがん悪液質診断に最適なBMI、体重減少率、サルコペニア(骨格筋量)を求めるため、大学病院の緩和ケアチームが介入するがん患者をリクルートし、栄養指標、サルコペニア指標の評価を行うための症例の集積を開始した。既にがん悪液質診断に必要な体重の推移、身長、体重、下腿周囲長、上腕皮下脂肪厚、浮腫の有無を調査を初年度238例におこなった(当該年度の目標症例数250例)。これらの症例に対し、既存の悪液質診断期順では採用されていない握力やSARC-Fによる筋機能評価、血液生化学検査値をカルテから収集し、同時に、GLIM、ESPENおよびASPENの低栄養診断基準や、慢性消耗性疾患の悪液質診断基準(Evans基準)も評価し、低栄養、悪液質の診断との関連も調査した。初診前一ヶ月以内に腹部CTが撮影されている症例に対しては、第3腰椎の位置のスライスから筋肉量を推定するlumbar skeletal muscle index、およびpsoas muscle indexを計測した。
現時点で、症例数が少なくがん悪液質診断基準値の検討には至っていないが、得られているデータを用い、がん悪液質診断の代替指標との検討を始めており、「握力と筋肉量が予後に及ぼす影響」、「L3骨格筋指数と大腰筋指数の関連」「低栄養、悪液質およびサルコペニアの有病率とオーバーラップ、生命予後と関連 」といった研究発表を行っている。また、研究を遂行する上で基礎となる、アジア人のがん悪液質の体重減少とBMIの既報論文をまとめた英文論文を投稿中である。
研究 ② 不可逆的悪液質の診断基準の検討
2023年度の研究開始に向け、収集指標の再検討を行い、2023年6月より症例の集積を開始する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

【現在までの進捗状況】
研究①日本人のがん悪液質診断基準値の検討、がん悪液質診断の代替指標の検討
最終的な集積目標症例500例のうち、初年度の目標である250例に対し、238例のデータを集積した。がん悪液質診断に必要な体重の推移、身体計測、筋力計測、浮腫の有無血液生化学データ、既存の基準を用いた悪液質や低栄養診断は調査できている。また、受診前一ヶ月以内に腹部CTが撮影されている症例に対しては、第3腰椎の位置のスライスから筋肉量を推定するlumbar skeletal muscle indexを計測する予定であり、このために必要なCTのDICOM画像の収集もできており、適宜計測を行っている。骨格筋量の評価は身体計測、CTを用いた計測法以外に、BIA法測定機器を用いた計測を全例に行う予定であった。しかし、COVID-19に対する感染対策上、入院患者の移動制限により、BIA法測定機器の設置してある外来まで、緊急性を要しない体組成評価のため移動することが難しく、BIAによる骨格筋量の評価は施行できていない。
研究② 不可逆的悪液質の診断基準の検討
2023年度の研究開始に向け、収集指標の再検討を行い、最終的な収集指標を決定した。

今後の研究の推進方策

研究 ①日本人のがん悪液質診断基準値の検討、がん悪液質診断の代替指標の検討
概ね症例の集積はできている。収集する指標としてBIAによる体組成評価ができていないが、現時点で体組成測定が困難な状況が継続しており、本項目の収集は断念せざる終えないと判断した。したがって、悪液質の重要評価項目の骨格筋量の評価の評価は、CTを用いた計測、および身体計測によるものとなる。しかし、CTによる骨格筋量の評価は、癌患者の骨格筋量の評価のゴールドスタンダードであり、最も正確性の高い評価方法である。集積した全例においてCTが撮影されていないため、検討対象となる症例数が70%程度になると予想されるが、症例集積期間を数ヶ月延長することにより、予定症例数の確保が可能で、概ね研究課題は遂行可能と予想している。
研究 ② 不可逆的悪液質の診断基準の検討
予定通り2023年度の研究開始に向け、収集指標の再検討を行い、2023年6月より症例の集積を開始する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ窩で出張予定学会が2023年度に延期になり、出張ができなかったため、出張費関連の支出を次年度に繰り越させて頂きました。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 緩和ケア患者の悪液質,低栄養,およびサルコペニアの重複は生命予後と関連する2023

    • 著者名/発表者名
      竹内知子、水野愛、原なおり、築山郁人、加藤涼子、江尻将之、伊藤真理、安永ちはる、戸田美佐子、松田真弓、櫻井圭祐、森直治
    • 学会等名
      第10回 日本サルコペニア・悪液質・消耗性疾患研究会
  • [学会発表] 緩和ケアを受けるがん患者の低栄養、悪液質およびサルコペニアの有病率とオーバーラップ2023

    • 著者名/発表者名
      水野愛、竹内知子、加藤涼子、松田真弓、堀田直樹、櫻井圭祐、森直治
    • 学会等名
      第38回日本臨床栄養代謝学会学術集会
  • [学会発表] 緩和ケアを受ける進行消化器がん患者のL3骨格筋指数と大腰筋指数の関連2023

    • 著者名/発表者名
      櫻井圭祐、森 直治、井上寿味子、竹内知子、水野愛、野々垣知行、石川真代、小山悠里江、松田真弓、 伊藤邦弘、堀田直樹、早川俊彦
    • 学会等名
      第38回日本臨床栄養代謝学会学術集会
  • [学会発表] Significance of cachexia in clinical practice for frailty and sarcopenia2022

    • 著者名/発表者名
      森直治
    • 学会等名
      The 8th ASIAN CONFERENCE for FRAILTY AND SARCOPENIA
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 緩和ケア患者の握力と筋肉量が予後に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      櫻井圭祐、伊藤真理、安永ちはる、 戸田美佐子、加藤涼子、江尻将之、竹内知子、水野愛、松田真弓、 堀田直樹、森直治
    • 学会等名
      第4回 日本緩和医療学会東海・北陸支部学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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