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2022 年度 実施状況報告書

妊娠期・授乳期糖質制限が次世代に及ぼす影響-糖質配合比および糖質制限時期の検討ー

研究課題

研究課題/領域番号 22K11875
研究機関名古屋大学

研究代表者

林 由美  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (30632707)

研究分担者 石川 哲也  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (10288508)
北森 一哉  金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (80387597)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードDOHaD / 妊娠期低栄養
研究実績の概要

【背景】近年、ダイエットを目的とした糖質制限食が痩せ志向の強い若い女性を中心に注目を集めている。しかし、妊娠期における偏った食生活は次世代の疾病リスクに影響を及ぼす可能性があるため、本研究では、妊娠期糖質制限食が次世代の代謝や運動機能等に及ぼす影響について検討し、糖質制限食の次世代影響について明らかにすることを目的とした。
【方法】3種の飼料(コントロール食、低糖質高タンパク食、低糖質高脂肪食)を妊娠期のマウスに与えた。子マウスは3週齢で離乳させ、体重および摂餌量は週に1回測定し、5・10週齢で自発運動量の測定、6・11週齢で経口糖負荷試験(OGTT)、7・12週齢でインスリン抵抗性試験(ITT)を行い、13週齢で解剖し、各種臓器を採取した。
【結果】低糖質高脂肪食群では、ほぼ全てのマウスにおいて出産に至らなかったため、以降の実験はコントロール群と低糖質高タンパク食群の2群で実施した。
離乳前の仔マウスの体重は雌雄ともに低糖質高タンパク食群で高値を示したが、離乳後は有意な差を認めなかった。OGTTでは、11週齢の雄マウスにおいて低糖質高タンパク食群で血糖値が高い傾向を示し、雌マウスでは、5週齢および11週齢で投与15分後の血糖値が低糖質高タンパク食群群で高い傾向を示した。一方、ITTでは、12週齢の雄マウスで投与60分以降の血糖値が低糖質高タンパク食群で有意に高値となった。自発運動量については、雌雄ともにコントロール群に比べ低糖質高タンパク食群でやや高値となったが、有意な変化は認められなかった。
【考察】以上の結果より、妊娠期低糖質高タンパク食は、次世代の糖代謝に影響を及ぼす可能性が示唆された。今後は、サンプル数を増やすとともに、遺伝子解析、病理組織学的検査により、糖代謝に影響を及ぼすメカニズムについて検討を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

糖質制限により糖質から置き換える栄養素をタンパクにする低糖質高タンパク食、脂質に置き換える低糖質高脂肪食の2種類で実験を行った。低糖質高脂肪食群では出産しなかったため、低糖質高タンパク食についてのみ検討を行った。妊娠期糖質制限による次世代影響について、運動量測定、糖負荷試験、インスリン抵抗性試験、サンプル採取はおおむね終了した。また、妊娠期の曝露影響をより詳細に解析するため、妊娠後期の母親および胎児、さらに対照として糖質制限食を摂取させた非妊娠マウスを解剖し、各種試料を採取した。今後は得られた試料を用いて、次世代影響について解析を進める。また、曝露時期による影響について検討するため、授乳期の糖質制限食についても検討を行っていく。

今後の研究の推進方策

妊娠期糖質制限食は次世代の糖代謝に影響を及ぼす可能性が示唆されたことから、糖代謝に関わる遺伝子について、遺伝子発現量またはタンパク発現量について解析を行う。また、血糖値の上昇は、酸化ストレスの蓄積や炎症を引き起こすと考えられるため、病理学的検査や各種炎症マーカーの測定を実施する。
妊娠期の母親の栄養の一部は胎盤を通じて胎児へ移行するが、栄養バランスは母親と胎児では異なると考えられる。そこで、Cont食または低糖質高タンパク食を摂取したマウスを妊娠後期に解剖し、母親および胎児の血液および肝臓を採取する。得られた試料を用いて生化学検査を実施し、妊娠期糖質制限食摂取による母子への直接的な影響について検討する。対照として、非妊娠マウスを用いて同様の実験を実施する。
また、妊娠期や授乳期は非常に感受性が高く、どの時期にどのような環境に曝露されるかによってその後の影響は大きく異なってくると考えられる。そこで、授乳期のみ曝露する群を追加し、糖質制限がより強く影響する時期について検討する。

次年度使用額が生じた理由

低糖質高脂肪食群では出産に至らなかったため、当初の計画よりサンプリング数が少なくなったため、今年度の使用額が減少した。一方、妊娠期の影響をより詳細に解析するため、妊娠期母マウスおよび胎児、非妊娠マウスにCont食または低糖質高タンパク食を与える実験を追加した。そのために必要な飼料、各種解析用試薬を購入する必要があるため、次年度に購入する。
その他、授乳期曝露に必要な飼料代、解剖関連費、遺伝子解析、生化学検査、病理組織学的検査関連費、学会参加旅費等に使用する。

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公開日: 2023-12-25  

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