研究課題/領域番号 |
22K12016
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
小川 将克 上智大学, 理工学部, 教授 (90624411)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 無線LAN / チャネル状態情報 / 移動物体 / 位置推定 |
研究実績の概要 |
2022年度は,初年度のため,カメラとチャネル状態情報(CSI: Channel State Information)の連携についての初期検討を実施した. (i)移動物体の通過区間では,カメラを用いた通過区間とCSIから得られる通過区間の差異について明らかにした.CSIのみによる通過区間の識別では,時間区間の電波伝搬の変動を利用しているため,その時間区間に依存して,カメラで判定される通過区間との差異が生じる.移動物体の移動速度が高速になるほど,この時間区間が長くなるため,カメラで判定される通過区間との差異が大きくなる.今後は,CSIのみによる通過区間とカメラで判定される通過区間の差異を小さくする必要がある. (ii)RGB-Dカメラによる人物推定による位置が得られるため,CSIとカメラ画像を用いた人物位置により学習することで,CSIのみで人の位置を推定した.ここで,カメラは一時的に利用することを想定している.回帰分析アルゴリズムとして,ロジスティック回帰モデル,決定木回帰モデル,ニューラルネットワーク回帰モデルによる精度の違いを比較し,ニューラルネットワーク回帰モデルは,二次元の推定が可能であるために最も推定精度が高いことを明らかにした.なお,カメラ画像を用いた人物位置では,既存技術を用いて人検出をした際のバウンディングボックスの中心を人の位置とした.バウンディングボックスのサイズは,カメラに対する人の向きやカメラからの距離に依存するため,カメラ画像による人物位置そのものに外れ値が含まれることがある.今後は,カメラではなくLiDARなどを用いることや,人流に着目して移動軌跡から推定精度を向上させる必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カメラとCSI(Channel State Information)の連携に関わる基礎検討を実施でき,課題が明らかになったため.
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今後の研究の推進方策 |
カメラによる物体検出では,物体検出アルゴリズムの誤差が生じるため,LiDARなどによる高精度な計測結果とCSI(Channel State Information)の連携を試みる. また,移動物体の通過区間の識別をCSIのみで行えるアルゴリズムについて検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度のために,実験環境(カメラの物体検知の設定など)の立ち上げに時間を要したためである. 来年度は,構築した実験環境を用いて評価を行うとともに,外部発表を積極的に行う予定である.
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