研究課題
本研究では、勾配法を用いない群知能型最適化法による、手軽かつ高精度な分岐解析手法の提案を目的としている。まず、提案手法である入れ子構造型PSO(NLPSO)をベースとした、分岐点探索ソフトウェア開発を行った。提案されたアルゴリズムは、関連分野の専門知識が十分でない場合でも簡単に利用でき、また高速に分岐点を導出できることを確認した。次に、NLPSOによる分岐点導出法を自律システムに拡張した。この研究では、ポアンカレ写像の計算と二等分法をアルゴリズムに組み込むことで、自律システムのための非勾配法による分岐点導出手法を提案した。シミュレーションにより、その有効性を確認・実証した。さらに、3つの余次元1の分岐と、3つの余次元2の分岐を含む、6種類の分岐を検出するためのNLPSOの新しい目的関数を提案した。提案した目的関数を用いて改良したNLPSOは、各分岐パラメータに予め決められた法則に従って3つのパラメータを設定することで、探索アルゴリズムを変更することなく、離散時間力学系および非自律系の余次元1の分岐パラメータと、余次元2の分岐パラメータの両方を正確に検出することを確認した。また、既存の手法であるPSOと比較し、差分進化(DE)が分岐点探索に適していることを詳細に調査、考察した。DEを用いることで、入れ子構造ではなく単一構造であったとしても、より高速かつ正確に分岐点探索が行えることを調査、確認した。さらに、離散時間力学系で観測されるホモクリニック点の座標を正確に計算するためのNLPSOによるアルゴリズムを提案した。これは、各多様体の点間のユークリッド距離に依存する効率的な目的関数の構築によって達成される。提案アルゴリズムの信頼性を、手法の成功率に基づく指標を評価することによって示した。
2: おおむね順調に進展している
分岐点探索力の向上に関する調査を既に終えている。それらの結果は複数の学術論文として発表できている。また、ホモクリニック点の導出へのPSOの実装を済ませている。
今後は、ホモクリニック点の導出に関して、様々な力学系へ応用し、その有効性を確かめる。また、最適化アルゴリズムの改善、および、目的関数の拡張を試みる。
当初予定していた学生アルバイト謝金が不要となったため。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
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