研究課題/領域番号 |
22K12424
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
大橋 弘範 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (80457829)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 最終処分材料 / 放射性セシウム / ガンマ線照射 / セシウムの漏出 / 合成の速度論 |
研究実績の概要 |
放射性セシウムの最終処分に関連して、ポルサイトの合成領域を調査している。ポルサイトの合成可能領域が広すぎることがわかってきたため、合成不可能領域を調査している。当初の目的であった、低温でのポルサイト合成は傾向も含め速度論的な解釈ができ始めている。具体的には、XAFSを用いたポルサイト合成速度論を構築し、それに対する遅延時間の設定を数学的に導出し、実験値と比較することができてきた。 ポルサイトの漏れ試験のための他との比較のための仕組みづくりは概ね完了し、比較をしている。ポルサイトからの放射性セシウムの漏れについては、アモルファスと比較しても有意に低く、またガンマ線量に対しても有意差がないデータが出始めている。 この実験も含め、高校生との共同研究の実績が評価され、日本化学会の第41回化学教育有功賞を受賞するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
京都大学でのガンマ線照射後の分析が滞っている。ポルサイト合成に関する実験では、ポルサイト合成可能領域が広く、合成不可能領域を調べているところである。異常濃縮に関する実験は遅れているが、基礎となる根本的な濃縮係数について、「0で割る」という難題に対する数学的解釈と数学的対処について目途がたち、その濃縮係数について実験的に求めることができたため、あとは実際の放射性セシウムを用いた実験を繰り返すだけ、となっている。
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今後の研究の推進方策 |
京都大学でのガンマ線照射の共同利用が2023年度で終了した。そのため、ガンマ線照射が必要な試料を多く作成し、照射が完了している。今年度は、この試料について、漏出試験などを通して実験を進めていく予定である。また、異常濃縮に係る実験も同時に進め、メカニズムの推定までこぎつけたいと思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
京都大学でのガンマ線照射の共同利用が2023年度で終了した。それに係る実験に注力したため、若干ではあるが試薬利用が少なくなり、次年度使用の金額が出てしまった。今年度2024年は本研究の最終年度であり、最後の放射光実験と成果発表に係る経費に使用する予定である。
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