研究実績の概要 |
Eタンデムとは、ZoomやEメールなどのオンラインツールを用いて、自分の母語を学習している相手と互恵関係に基づいた国際コミュニケーションをすることである。これまでの研究では、Eタンデムが国際理解を促す一方、その理解が表面的で、国民国家(nation-state)レベルの文化比較しか行われないため、文化のステレオタイプ化が起こる可能性も指摘されている (e.g., O'Dowd, 2019)。そこで、本研究では、日本で英語を学んでいる学習者とアメリカで日本語を学んでいる学習者のペアにZoomでコミュニケーションをしてもらい、(1) 文化の多様性に関する議論が行われたのか、そして、(2) 行われた場合、どのような内容が、どのような言語リソースを用いて話されたのか調べるため、談話分析とコーパス分析をする。そして、その結果を学習者に提示することで、多様性に関する議論を増やすことができるのかという実証実験を行う予定である。具体的には、focused instruction (e.g., Vyatkina, 2007; Vyatkina & Cunningham, 2012; Cunningham, 2016) という言語教育の手法をEタンデムにおける異文化教育に当てはめ、その効果を調べる予定である。
2022年は産休・育休を取得したため、2022年の秋学期に計画していたEタンデムプロジェクトを延期することになった。育休から復帰後にデータ収集を再開する予定である。最終的には、異文化能力 (intercultural competence) を発達させるための新たなEタンデム教育を提唱し、英語教育の発展、グローバル人材の育成、さらには留学の意義を見直すきっかけに繋がるような研究を遂行する計画である。
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