研究課題/領域番号 |
22K13408
|
研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
白 映旻 福山大学, 経済学部, 講師 (00844185)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 海外直接投資 / 賃金 / 賃金格差 |
研究実績の概要 |
2023年度には、この研究課題の事前研究として、海外直接投資が国内企業の賃金と賃金格差に与える影響を分析した。その成果(論文名:Globalization and Equality: A Cross-Country Analysis)は、ADBI(Asian Development Bank Institute)のワーキングペーパーと本として出版される予定である。論文内容を纏めると次の通りである。2008年から2022年までの27のアジア地域の発展途上国における13の製造業のデータを分析し、外国企業の存在が国内企業の労働者賃金に及ぼす影響を分析した。分析の結果から以下の3点が明らかになった。第一に、外国企業の平均賃金は、国内企業よりも高く、特に低所得国やサービス産業において顕著である。第二に、外国企業に露出された国内企業の平均賃金は、そうでない国内企業の賃金よりも高い。これは外国企業から国内企業への賃金スピルオーバーを表す。第三に、外国企業の存在は熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差を拡大させる。これらの分析結果に基づき、発展途上国はFDIを改善し、FDIを引きつけると同時に、教育や訓練を提供することで非熟練労働者のスキルを向上させ、賃金格差を縮小させる必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで次の3点の作業を行い、順調に進展している。 1.事前研究として、「日本の国際投資協定が日本企業による海外進出に与える影響」を国際雑誌に発表し、「FDIの国内企業の賃金への影響」を国際研究機関の本として発表する予定である。 2.地方企業のGVC参加について、地方企業を対象に企業インタビュー調査を実施し、定性分析を行なった。 3.今後の定量分析に必要な個表データと地域レベルのデータを収集した。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に経済産業研究所(RIETI)を通じて個表データを申請し、企業の取引データ(東京商工リサーチの企業情報ファイルおよび企業相関ファイルのデータ)以外の企業データを収集している。2024年度にはすべてのデータをマッチングして、定量分析を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ鍋により、学会に対面でなく、オンラインで参加したため、旅費が発生しなかった。残った研究費は、最終年度に追加的な企業調査や学会発表の旅費として活用する予定である。
|