研究課題/領域番号 |
22K13594
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
カバリェロ 優子 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (30897575)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パラグアイ共和国 / キャッサバ芋 / 料理の組み合わせ / 炭水化物料理の重ね食べ / 栄養素等摂取量 / 都市部と農村部 |
研究実績の概要 |
研究内容は大きく分けて二つであった。一つ目は、パラグアイ共和国首都アスンシオンと農村地域であるピラポ市において、2015年から2016年にかけて実施した約790名の食物摂取頻度調査票の比較分析を行った。ピラポ市では、キャッサバ芋を栽培していることもあり、一日に一食はキャッサバ芋料理が食されていた。さらに、油を多く含む小麦粉料理(レビロ、トルティージャ)もアスンシオンに比べて多く食されていた。一方、アスンシオンの主な主食はパンなどの小麦粉料理であり、ピラポ市に比べて加工食品やファーストフードの摂取頻度が有意に高かった。以上のことから、都市部と農村部では顕著な食生活の違いが確認された。研究成果は、国際家政学会大会にて口頭発表を行った。 二つ目の研究は、ピラポ市で同時期に実施した433名分の食事秤量記録の質的分析である。出現した1,223の料理を、①炭水化物を多く含む料理、②主菜(たんぱく質を多く含む料理)、③炭水化物、たんぱく質両方を含む混合料理、④その他の料理の4タイプに分け、一食の料理の組み合わせパターンと、その違いによる栄養素等摂取量の違いについて比較した。対象者の全食中約40%は、炭水化物を多く含む料理を2つ以上組み合わせて食されており、それらの食事は、炭水化物料理を一品しか含まない食事に比べて、エネルギー、脂質、食塩の摂取量が有意に多かった(ただし男性の脂質摂取量のみ有意ではなかった)。この研究成果は、国際学術雑誌(査読付き)に掲載された。 日本や国外においても炭水化物料理の重ね食べは、肥満や糖尿病の要因になりうると課題視されているものの、エビデンスにもとづいた先行研究はほとんど確認できていない。本研究の成果は、パラグアイ共和国のみならず、国際的にも料理の組み合わせの重要性を示唆するものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都市部および農村部でこれまで実施してきた食事調査について質的、量的に比較分析し明らかになった知見を国際学会と国際学術雑誌に論文発表した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の研究で明らかになった知見をもとに、現地調査のための詳細な研究計画を立てる予定である。具体的には、パラグアイ共和国都市部と農村部住民の食事内容の違い、エネルギー摂取量と消費量の収支等を調査し、肥満や生活習慣病の原因になりうる食生活及び身体活動の課題を明らかにする。
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