研究課題/領域番号 |
22K13644
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
古田 雄一 筑波大学, 人間系, 助教 (20791958)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 生徒の声 / 生徒参加 / 学校改革 / 教育経営 / 日米比較 |
研究実績の概要 |
初年度は、生徒の声を学校改善に結び付けるアプローチの一つとして、アメリカで近年広がりを見せる学校風土調査(school climate survey)に着目して研究を行った。アメリカでは、学校が提供する教育の質をテストスコアだけでなく幅広い指標で捉える動きが広がり、「学校風土」(school climate)も指標の一つとして注目され、その測定には児童生徒への質問紙調査(学校風土調査)がよく用いられる。今回の研究では、イリノイ州シカゴ学区の事例に関する資料を収集し、学校風土調査の活用実態や課題について明らかにした。こうした調査は、当該学校の生徒の学校経験の実態を捉え、それを学校改善に活かす手段として一定の可能性を有することが見出されたが、同時に州のアカウンタビリティ・システムに組み込まれる場合など、政策上の位置づけ次第では学校改善に活かすことが困難になるといった課題も見出された。また、学校風土調査だけで生徒の声を捉えようとするには限界があり、調査を起点に生徒との対話などを通じて、さらに生徒の声を拾い上げていくことが肝要であることも示唆された。以上の事例研究については論文化が完了している。 また、論文化には至っていないが、他のアプローチに基づくアメリカの事例についても調査を進めている。こうしたアメリカの事例研究とあわせて、「生徒の声」に関連する文献を渉猟し、理論研究を進めている。また2023年度から本格的に着手する国内の事例研究の準備も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響により、当初の計画で予定していた訪米調査については初年度はできなかったものの、文献や資料に基づく研究に切り替え、生徒の声を学校改善に結び付けるアプローチの一つとして、アメリカで展開される「学校風土」調査の政策や実践の事例について調査および論文執筆を進めた。 また、初年度に予定していた理論研究や、国内の事例研究の準備も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度(以降)は、次のような形で研究を進めていく。 第一に、理論研究については、引き続き文献に基づき研究を進めていく。 第二に、アメリカの事例研究については、初年度はコロナ禍の影響で実施できなかった訪米調査も含めて準備し、さらに多角的な検討を進めていく。 第三に、日本の事例研究にも着手し、日米比較の視点からも研究を深めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、当初計画ではアメリカでの実地調査を予定していたが、コロナ禍の関係等により訪米調査が実施できなかったため、次年度への繰り越しが生じた。 2023年度は、訪米調査を実施する方向で検討を進めており、海外渡航にかかる費用の高騰等にも鑑み、必要に応じて今年度調査の費用に補填しつつ、調査研究を進めたい。
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