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2022 年度 実施状況報告書

批判的統合の学力評価手法の開発及び発達に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K13697
研究機関大阪教育大学

研究代表者

村井 隆人  大阪教育大学, 教育学部, 講師 (80826157)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード中等国語科 / 批判的思考 / 批判的統合 / 説明的文章 / 学力評価 / 複数テクスト
研究実績の概要

2022年度は、調査課題の枠組みと読みの水準の開発を行った。また、それをもとにサンプル課題を開発し、大学生を対象としたサンプル調査及び実践を行った。
枠組みの設定では、批判的統合を求める課題を設定する際には、協働的な討論が重要になることを確認した。自身の立場に固執せず、特定の論争において重要な観点から、双方の立場の根拠を重みづけていく、このようなプロセスが、反省性を伴った批判的統合の成立に寄与することを確認した。
これに伴って、批判的統合の水準も、①自身の立場に焦点化した利己的な読みから、②複数の立場の情報を用いているが、テクスト間関係に課題のある読み、さらに③テクスト間の情報を的確に捉えた反省性を伴った読みの3段階で大きく捉えることにした。また、これらの認知的な水準に影響する情意的な要素において、批判的思考態度のテストに加えて、テクストに対する構え(重要度など)を問うことが、批判的統合の傾向や課題を捉えることに役立つことが示唆された。
これをもとに、SBACのパフォーマンス課題を翻訳・加工した課題や、オリジナルの課題を作成し、大学生を対象とした試験的な実践を行った。
試験的な実践においては、協働的な討論を取り入れた指導によって、レベル3へと到達するプロセスがどのようなものかを考察することができた。また、回答者の立場によって、テクストに対する構えが異なることを、診断的に捉えることができた。この結果は、形成的評価として利用可能であることも分かった。ただし、中等教育段階の生徒を対象とした調査を行うためには、テクストや課題の調整が必要であることもわかった。
以上の研究について、論文1本を執筆し、学会発表を1回行った。また、大学生を対象とした試験的な実践についても論文を投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目に予定していた枠組みの開発と試験的な課題の開発を行ったこと、およびこれらの研究成果の一部を論文として発表したため、おおむね順調に進展していると判断した。ただし、本年度開発した課題は、そのまま中等教育段階の生徒を対象として調査をすることは難しいことも分かった。特に中学生の生徒が設問の趣旨を理解し、課題に取り組めるようなテーマとテクストの選定について、十分な検討を行うことが出来なかった。この点について、今後の研究の方法を改善していく予定である。

今後の研究の推進方策

2023年度は中等教育段階の生徒を対象としたいくつかの調査を予定している。研究の進捗においては、課題とするテクストの選定や調整に困難がみられた。そこで、調査協力者の国語科教員の助言を受けながら、テクストや課題の選定、表現の方法等の調整を行うことで、調査を実行可能な状態にする予定である。
また、本年度の調査研究を利用して、特定の水準の読みが、どのようなプロセスで形成されるのか、そこに情意的な要素等がどのように影響するのかといった傾向及び学習可能性について明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

年度末に購入した物品が、予定よりも安く購入することができたため、軽微の余りがでた。
年度末に使い切ることが予算の趣旨ではないことを鑑み、繰越すこととした。
来年度は電子機器等の物品を購入するので、そこで併せて利用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 批判的統合を求める大規模なパフォーマンス課題の回答の分析:SBAC八年生の情報的テクストの課題を手がかりに2022

    • 著者名/発表者名
      村井隆人
    • 雑誌名

      月刊国語教育研究

      巻: 57 ページ: 44-51

  • [学会発表] 複数テクストの批判的統合を求める学習指導に関する研究―大学生が反省性を発揮するプロセスの分析―2022

    • 著者名/発表者名
      村井隆人
    • 学会等名
      第143回全国大学国語教育学会 千葉大会

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公開日: 2023-12-25  

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