研究課題
疲労の重症度を測定するFatigue Severity Scale(FSS)の測定性能を検証する研究論文を発表した。本研究では、FSSの測定性能を項目反応理論(Item Response Theory: IRT)の一つであるGraded Response modelを用いて評価した。その結果、測定に際して除外すべき項目を特定し、反応段階(各質問への回答の選択肢)においても一部統合すべき可能性を見出した。さらに、FSSと睡眠時間、自覚するストレス、抑うつとの関連を確認し、同様に疲労を測定することを目的として開発されたMultidimensional Fatigue Inventory (MFI)との尺度特性の差異を明らかにした。特に、抑うつ症状との関連に関しては、同時効果モデルにおいて、MFIは抑うつ症状に対して影響を与えうる可能性を示しているのに対して、FSSは逆に抑うつ症状から影響を受ける可能性を示した。これは、MFIとFSSが疲労の異なる側面を測定している可能性を指摘しているといえる。これらの知見を踏まえ、2023年度は日常生活活動と疲労との関連を明らかにするための大規模調査を計画し、アンケートの作成とオンラインで動作する認知課題の開発を行った。作成した認知課題では、課題の途中に疲労の程度を測定するプローブを挿入した。また、日常生活習慣を整える介入プログラムを開発するための議論に参加し、ゲーミフィケーションを取り入れたスマートフォンゲームアプリケーションの開発を計画した。ゲームの中では、日常的な心身の状態を記録する機能を備えており、当初の計画にある日常的な疲労の追跡も行えるよう計画している。
3: やや遅れている
所属の異動に際して、その準備にエフォートが割かれたため。
すでに大規模調査のためのマテリアル開発は完了しているため、これをもとにデータ収集を行う。データ収集と並行をして解析ツールを作成しておき、データが集まり次第すぐに検定に取り掛かれるようにする。
本年度中に認知課題の実施を含む大規模調査を実施する予定であったが、調査費用の見積もりが間に合わず、実施が2024年度となったために、次年度使用額が生じた。次年度使用額含め、2024年度では主にこの調査と別途計画しているアプリケーションを用いた追跡調査に用いる。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件)
Personality and Individual Differences
巻: 220 ページ: 112539~112539
10.1016/j.paid.2023.112539
BMC Psychology
巻: 11 ページ: 155
10.1186/s40359-023-01198-z
PLOS ONE
巻: 18 ページ: e0283416
10.1371/journal.pone.0283416