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2022 年度 実施状況報告書

光パルスに基づくスケーラブルな光ニューラルネットワークチップの創出

研究課題

研究課題/領域番号 22K14298
研究機関東京大学

研究代表者

タン ルイ  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (30929146)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード光ニューラルネットワーク / 光行列演算
研究実績の概要

本研究では、スケーラブルな光ニューラルネットワークチップの実現を目指している。当該年度において、はじめに光ニューラルネットワークの核心である光行列演算用の新しいアーキテクチャを提案した。具体的に、二層導波路構造と新規な多入力ポート光検出器を用いて、光行列―ベクトル演算回路と光行列―行列演算回路を提案した。従来のコヒーレント型光回路と比較して、本行列―ベクトル演算回路ではエラーソースである各マッハ・ツェンダ干渉計を独立させることで、計算エラーを低減できることを明らかにした。また、本研究の回路構造に限らず、光行列―行列演算回路のほうが処理速度とエネルギー効率が高いことを明らかにした。4波長を使うことで、20×20以上の行列規模ではエネルギー効率を2倍向上できることを示した。
続いて、得られた知見に基づいて単一波長、32×32の光行列―ベクトル演算回路と3波長、12×12の光行列―行列演算回路を設計し、商用の半導体ファウンドリーでデバイスを作製した。原理実証のため、これらの光回路では熱光学位相シフタを用いた。また、多波長を合波・分波するフィルターは可変なリング共振器フィルターを使用した。作製された光チップを実装した上で評価する必要があるため、端面研磨などの準備を行った。現在はチップの実装を進めている。これらの結果は、光ニューラルネットワークの大規模、高速、低電力化に貢献できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一年目は、二層導波路構造と新規な多入力ポート光検出器を用いて、光行列―ベクトル演算回路と光行列―行列演算回路を提案し、これらの光回路の理論特性を明らかにした上で、原理実証用の単一波長、32×32と3波長、12×12のデバイスを作製したため、概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

今後は、作製された二つの光回路を実装し、動作実証を行う予定である。また、光パルスを用いた方式と並行して、連続波(CW)光を用いたデバイスの作製と動作実証も行うつもりである。光パルスとCW光を用いた場合はそれぞれのメリットがある。光パルス方式ではデバイス規模を拡張することが容易であり、CW光方式ではより高速な演算が可能である。両方式を比較することで、光ニューラルネットワークにとって最適な手法とシステム構成を探索する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Two-layer integrated photonic architectures with multiport photodetectors for high-fidelity and energy-efficient matrix multiplications2022

    • 著者名/発表者名
      Tang Rui、Okano Makoto、Toprasertpong Kasidit、Takagi Shinichi、Englund Dirk、Takenaka Mitsuru
    • 雑誌名

      Optics Express

      巻: 30 ページ: 33940~33940

    • DOI

      10.1364/OE.457258

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 多面光変換法に基づく集積光線形変換器2023

    • 著者名/発表者名
      唐 睿, 田之村 亮汰, 種村 拓夫, 中野 義昭
    • 学会等名
      応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 4×4ユニバーサル光集積回路での最適化の実証2023

    • 著者名/発表者名
      唐 睿, 湯 涵智, 池田 和浩, 岡野 誠, トープラサートポン カシディット, 高木 信一, 竹中 充
    • 学会等名
      応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 光行列-行列演算回路の提案2022

    • 著者名/発表者名
      唐 睿, 岡野 誠, トープラサートポン カシディット, 高木 信一, 竹中 充
    • 学会等名
      応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] Two-layer integrated photonic architectures for matrix-vector and matrix-matrix multiplications2022

    • 著者名/発表者名
      Rui Tang, Makoto Okano, Kasidit Toprasertpong, Shinichi Takagi, and Mitsuru Takenaka
    • 学会等名
      The 12th International Symposium on Photonics and Electronics Convergence
    • 国際学会
  • [産業財産権] Integrated photonic architectures for matrix multiplication2023

    • 発明者名
      唐睿, 竹中充, 岡野誠, 高木信一など
    • 権利者名
      唐睿, 竹中充, 岡野誠, 高木信一など
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2023/5525
    • 外国

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公開日: 2023-12-25  

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