本研究では、下水処理水マトリクスと未規制化学物質の複合作用を明らかにするため、下水処理水中の疎水性画分を酸性,中性,塩基性に分画し,それら画分と未規制化学物質が複合的にヒト培養細胞へ与える影響を明らかにするとともに,水晶振動子マイクロバランス(QCM)による吸着量の評価を行った.その結果、合成ホルモンの細胞影響は処理水マトリクスの存在下で低減することが示唆された.また、QCM分析では合成ホルモンの種類によって各画分への吸着特性が異なることがわかった.再利用水の安全性を確保するためには、処理水マトリクスの役割を考慮した水質管理が必要である.
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