本研究は、秋田県内の明治末期から昭和中期までに建てられた石積み壁を持つ混構造堆肥小屋の建設経緯、残存状況、建設構法を明らかにした。文献調査を用いて、乾田馬耕の実施と堆肥小屋の誕生の関係性について日本全土を対象にし、歴史的な視点から整理した。秋田県において、特に堆肥小屋の建設に対する指導、奨励制度、補助金制度等について整理した。実測調査は、にかほ市畑福田集落に現存する堆肥小屋合計9棟を、規模、壁と小屋組の構法、母屋との位置関係、現在の用途等を実測した。堆肥小屋の立地と集落環境の関係性から堆肥小屋が建設された当時、農地からのアクセスが重視されたことも明らかにした。
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