研究課題
若手研究
本研究では、遊星式スピンコートによる薄膜製膜により、従来のスピンコートにおける課題であった製膜後の膜厚ムラの低減と、板状粒子を用いた配向制御に成功した。従来のスピンコートでは定常な遠心力により基板上に膜を塗り広げるため、中央部の盛り上がりと放射状のムラがどうしても発生していたが、遊星式では基板上の遠心力の時間変化によりいずれの膜ムラも解消できた。また、板状粒子の配向により膜組織を一様な方向に配向でき、得られた膜の熱・電気的特性に期待できる。
材料加工
本研究の学術的意義は、高速度カメラを用いた材料挙動の観察により、膜厚ムラの改善する仕組みをある程度把握できたところであると考えられる。これにより、当初のターゲットであった無機材料だけでなく、高分子材料などの多くの製膜の膜厚ムラの改善に効果的であることが期待できる。また、社会的意義として、膜厚ムラ低減による性能の均質化とともに、板状粒子の配向による熱・電気的特性の向上が期待でき、将来的に電池材料や圧電材料などの各種素子の性能改善に寄与できると考えている。