単一分子分光法は個々の分子の物理的特性を研究するための強力な方法であるが、様々な化学的および生物学的過程が進行する室温溶液中で分子の高速な揺らぎダイナミクスを解明することは困難である。この研究では、励起スペクトルの自発的揺らぎを観測することのできる、室温溶液中のフーリエ変換に基づく蛍光励起相関分光法を開発した。この方法を用いることで、蛍光色素 ATTO647N の蛍光励起スペクトルを単一分子レベルで測定することに成功した。さらに、励起波長分解した蛍光自己相関関数がマイクロ秒からミリ秒の範囲で得られ、色素の拡散に対応する相関関数の減衰を捉えることに成功した。
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