これまでのプロトン結合スピン転移現象の研究では基礎的な観点から、スピン転移現象との連動に基づく新規プロトン移動現象の開拓を進めてきた。一方で、プロトン移動に基づく機能開拓を進める上で、従来のプロトン結合スピン転移錯体の設計では特徴的な構造要素(電子受容/供与性やキラリティーなど)を有する置換基や配位子の導入による物質探索が困難であるという課題があった。本研究で新たに開発した配位子は多様な置換基を導入可能な部位を有しており、また二座や四座配位子への拡張が可能であることから、架橋配位子に基づく多核錯体化やキラル部位の導入による極性構造の形成など従来では困難であった物質設計が実現出来ると期待される。
|