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2023 年度 実施状況報告書

ポリマーブラシを利用した親水性と撥水性が共存するパラドキシカル表面の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K14729
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

佐藤 知哉  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40783874)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードポリマーブラシ / 表面開始原子移動ラジカル重合法(SI-ATRP) / ぬれ性 / 共重合 / 親水性 / 疎水性 / 吸湿性
研究実績の概要

本年度も前年度に引き続き、本研究課題の主目的であるポリマーブラシを用いたパラドキシカル表面の作製に向けた合成法の開発と(コ)ポリマーブラシの合成・評価を実施した。これまでに開発した空気中で実施可能な原子移動ラジカル重合法(Paint-on法)を用いて、各種モノマー(メタクリル酸メチル(MMA)、スチレン(St)、メタクリル酸3-スルホプロピルカリウム(SPMK)、アクリル酸ヘキシル(HA))の(共)重合を検討した。なお前年度まで使用していた長鎖フッ化アルキルモノマーは、環境上の懸念の高まりから、基礎検討での使用を停止し応用検討でのみ使用することとした。
これまで、ブロック共重合時の反応速度や得られるコポリマーブラシの性質については未調査であったことから、本年度は、MMAとStをモデルモノマーとして、ファーストブロックにPMMA、セカンドブロックにPStとなるコポリマーブラシ(PMMA-b-PStブラシ)の合成と評価から研究を開始した。分光膜厚測定結果から、PMMAブラシを起点に実施したPaint-on法でもSt単一と同等の速度で重合が進行していることが明らかになった。また、表面観察結果から、PMMAブラシ、PMMA-b-PStブラシはいずれも同様に均一かつ平滑であった。これらの結果から、Paint-on法がコポリマーブラシの合成に有効であることが明らかとなった。
次に、この知見をSPMKとHAの共重合に活用することで、コポリマーブラシ(PSPMK-b-PHAブラシ)の合成も実施した。得られたPSPMK-b-PHAブラシは、上記の系と同様に、厚膜、均質、平滑であった。さらに、各表面のぬれ性と吸湿性評価を実施したところ、セカンドブロックであるHAの重合に伴い、コポリマーブラシの親水性、吸湿性が明確に低下した。以上から、本手法によるパラドキシカル表面の作製の可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題を遂行する上で重要なポリマー合成法の改良、基板の処理技術の改良により官能基が複数共存する表面の作製に成功した。研究拠点の変更を伴う部署異動があり、研究環境の整備に時間を要したものの、概ね順調に進んでいると言える。

今後の研究の推進方策

改良したポリマーブラシ合成法を用いて、各種親水性・疎水性モノマーを原料に復讐種類の(コ)ポリマーブラシを合成し、分析と評価を進めパラドキシカル表面を構築するための要素を解明する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Threshold of Surface Initiator Concentration for Polymer Brush Growth by Surface-Initiated Atom Transfer Radical Polymerization2023

    • 著者名/発表者名
      Sato Tomoya、Dunderdale Gary J.、Hozumi Atsushi
    • 雑誌名

      Langmuir

      巻: 40 ページ: 480~488

    • DOI

      10.1021/acs.langmuir.3c02756

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 高分子材料による表面処理技術2024

    • 著者名/発表者名
      佐藤知哉
    • 学会等名
      香川大学特別講演会
  • [学会発表] “Paint-on”法により合成した 大面積コポリマーブラシ の表面機能2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤知哉、浦田千尋、穂積篤
    • 学会等名
      第72回高分子年次大会
  • [学会発表] 多様な機能を持つ実用高分子薄膜の開発と社会実装に向けた取り組み2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤知哉
    • 学会等名
      第187 回東海高分子研究会講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] A New Approach to Realize Large-scale Synthesis of Polymer Brushes2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤知哉、穂積篤
    • 学会等名
      第72回高分子討論会日韓ジョイントセッション
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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