研究課題
若手研究
本研究では,カイメンTheonella swinhoeiから,遠心分離と密度勾配遠心分離によってメンブレンベシクルを単離し,透過電子顕微鏡によって観察した.高速液体クロマトグラフィー-質量分析によって,メンブレンベシクルにカイメンの共生細菌エントセオネラが産生する二次代謝産物が含まれることが明らかになった.さらに,RNAシーケンシング解析によって,メンブレンベシクルに二次代謝産物の生合成遺伝子の転写産物が含まれることが示唆された.
天然物化学
海綿動物において,共生細菌がどのような機構を通して化合物を輸送するかについては理解が進んでいない.本研究は,カイメン中のメンブレンベシクルに共生細菌が産生する二次代謝産物が含まれることを示した.海綿動物中の物質輸送に関して新しい知見を与えると同時に,複雑な微生物叢からなる環境における二次代謝産物の輸送について理解を深めるものである.