本研究では、リンパ腫を含むB細胞のバイオロジー(成熟・生存増殖・機能)におけるホスファチジルセリン(PS)の意義を明らかにすることを目的として解析を実施した。その結果、PS合成の不全によって、マウスB細胞の分化成熟に若干の異常が生じること、また顕著な表現型として、B細胞リンパ腫の生存増殖が損なわれることを明らかにした。詳細なメカニズム解析の結果、B細胞系列において特異的に機能するB細胞受容体(BCR)がB細胞の強いPS依存性を規定することを明らかにしており、PS合成不全時にはBCRシグナルが異常亢進することでB細胞リンパ腫の細胞死を誘導することを見出した。
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