研究課題
若手研究
赤色蛍光タンパク質RFPを組み込んだヒト大腸腺癌HT29細胞をNudeマウスに移植し、移植2週間が経過してから8時(明期)または20時(暗期)にシスプラチンを5 mg/kgの用量で週に3回投与を4週間続け、体重および腫瘍サイズを経時的に観察することで薬理作用(腫瘍サイズ、細胞増殖能)ならびに毒性作用(体重、尿素窒素)を指標に評価し、シスプラチンの最適な条件を探索した。実験の結果、薬理作用及び毒性作用はともに8時(明期)よりも20時(暗期)の方が強く顕れることが示唆された。
医療薬学
シスプラチンは白金を含有する悪性腫瘍に対する化学療法剤であり、多くのがん化学療法プロトコールにおいて中心的な役割を果たしているが、20-30%の患者で急性腎障害等の副作用が認めれる。薬理作用と毒性作用が異なる時刻であれば、患者のQOL向上に強く貢献できるものになるが、今回の結果では薬理作用及び毒性作用の強く顕れる時刻は一致していた。近年、医療費高騰の問題もあることから、シスプラチンの作用が強く出る時刻に投与すれば、医療費削減に貢献できる可能性を秘めている。