膵癌は5年生存率が10%未満と予後不良な癌である。膵癌は、約90%の症例で活性型K-ras変異によるMAPK経路の活性化が生じており、MAPK経路は重要な治療標的と考えられているが、膵癌患者を対象とした臨床試験において有効性は得られていない。本研究では、MAPK阻害薬抵抗性に関わる分子としてANXA8を見出し、ANXA8の発現を抑制するとMAPK阻害薬の抗腫瘍効果が高まることを明らかにした。すなわち、MAPK阻害薬とANXA8標的治療を併用することで、これまでにMAPK阻害薬が無効とされた膵癌症例に新たな治療戦略を提供できる可能性が期待でき、その社会的意義は極めて大きいと考えられる。
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