研究課題
前年度までに、野生型 (WT)に加え、アンチトロンビンとの結合障害 (ATR)またはトロンボモジュリンとの結合障害 (TMR)を示すと予測された変異型プロトロンビン (M380T、R431H)および、ATRを呈することが報告されているR596Lを高純度に精製することに成功しており、その精製プロトロンビンを使用して以下の解析を行った。【ATRの解析】1) AT添加残存トロンビン活性測定では、R596LでATRを検出できる系を構築した。R431HはATRを認めなかったが、M380TはATRを有している可能性が示された。2) ウエスタンブロットによるトロンビン-アンチトロンビン複合体 (TAT)形成能評価では、WTとR431Hは同等のTAT形成率を示したが、M380TおよびR596Lでは有意にTAT形成率が低下していた。3) 表面プラズモン共鳴法によるATとの親和性解析において算出された解離定数 (KD, ×10^-7 M)は、WT: 0.61に対しR431H: 0.79と同等であったが、M380T: 2.66およびR596L: 0.67はKDが有意に高く、ATとの結合親和性低下が示された。【活性化プロテインC (APC)生成能解析】TM存在下における異常トロンビンによるAPC生成能を評価した。反応開始後30分後のAPC生成量 (nM/nM thrombin)は、WT: 18.2に対し、M380T: 0.67、R431H: 3.34と著明に減少しPC活性化障害を有することが示された。R596Lは6.11と中程度の減少が確認された。【TMRの解析】n= 1のため有意差検定はできていないが、算出したKDはWTとR596Lで同等であった。一方で、M380TおよびR431HはKDを算出できない程にレスポンスが低く、ほとんどTMと結合しない可能性が示唆された。
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Thrombosis Research
巻: 233 ページ: 37~40
10.1016/j.thromres.2023.11.016
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