研究課題/領域番号 |
22K15812
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
中市 徹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理士 (10935787)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線治療CT / デュアルエナジーCT / 放射線治療計画 |
研究実績の概要 |
本研究では、放射線治療において放射線治療計画を作成する際に必要となるCT画像に起因する投与線量の不確かさを定量するため、既知の電子密度を有し、体内のCT値に類似した人体模擬ファントムを作成し、再構成による影響や各種アーチファクト抑制方法(ビームハードニング、金属アーチファクト)を相対的に比較評価する事を目的としている。 具体的には、治療計画装置を用いて既知のCT値で上書きした画像を理想的な画像とし、各種再構成法によるCT値の誤差が治療計画で得られる線量分布に及ぼす影響を、骨盤部に該当する疾患を模擬した放射線治療計画を作成し腫瘍及びリスク臓器に対して評価する。 本年度は所属機関の異動によりCT機器を利用した実験が困難であった事および震災による被災の影響により研究の中断期間があったことにより理論的な再構築にとどまった。付随研究としてCT画像を用いたAI輪郭描出精度への影響および線量計算結果への影響を別の観点から評価を行い学会発表を行った。従来の再構成法を用いた場合においても人間の手による輪郭描出とAI輪郭描出で差がみられなかったことから、CT画像に起因する不確かさの評価において輪郭描出精度の影響は無視できる事が判明した。 また、当初の作成予定のファントムが作成できなかったことを考慮した代替え案を考察した。具体的には先行研究を参考に3Dプリンタを用いたファントムを作成する方法を用いることで電子密度およびCT値両方の調整の課程を省略可能と考えており、研究の遂行を促進することが期待できる。 来年度以降にファントムの発注等を行い研究の遂行に努める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は所属機関の異動により研究開始が遅れてしまった事、CT機器を利用した実験が困難であった事および震災による被災の影響により研究の中断期間があった。来年度より当初の研究機関で研究が再開可能となったため遂行に努める。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、本年度に再構築した理論をもとに電子密度調整のための溶液とCT値を調整する造影剤をもとに人体等価な電子密度及びCT値を有する溶液の基礎的検討を行う。骨盤部を模擬したファントムを作成し、各種再構成法(AI再構成、ビームハードニング抑制、金属アーチファクト抑制)の影響を定量化し評価を行う。ファントムを作成後骨盤部に該当する放射線治療計画を作成し、理想的な線量分布を各種再構成法で得られた画像を用いた線量分布の差分評価を行う。加えて、疑似腫瘍部位・リスク臓器等の線量を詳細に比較を行う。また、他施設におけるCT装置に対しても同様の評価を行い、同様のアーチファクト抑制効果を有する再構成法におけるCT値に起因する不確かさの定量を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の異動により研究の開始が遅れてしまった事、およびCT装置の使用が当該研究の評価を満たす条件でなかった事、震災の被災による影響により研究を中断せざるを得ない期間が生じたことにより予定通りの実験を行えなかった。次年度より当初の研究機関に復帰するため研究の遂行に努める。
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