研究課題
若手研究
肺高血圧症(PH)は肺血管のリモデリングにより肺動脈圧上昇から右心不全に至る予後不良の難病であるが、その病態形成機構は明らかになっていない。我々はPH発症に環境因子(炎症、毒物、薬剤、ホルモンなど)が必要であることから腸内細菌叢に注目して研究を実施してきた。その中で肝臓を介して肺動脈に至る腸内細菌由来代謝物がPH病態形成に重要である実験結果を得た。腸内細菌代謝物によって肺の免疫細胞が活性化し、病態促進に関わっていると考えられる。
循環器内科学
本研究により肺動脈性肺高血圧症(PAH)病態形成の鍵が腸内細菌由来代謝物である可能性を見出した。門脈圧亢進に関連したPH(PoPH)を含むPAHは厚労省指定の特定疾患であり、本研究成果により腸内細菌叢を標的とした新しい治療法開発に繋がれば非常に社会的意義は大きい。またPAH発症の前段階に環境因子としての腸内細菌叢変容が先行して存在している可能性もある。今後発症前の検体を集積し解析を進めれば発症予防にもつなげられる可能性もある。