心不全は未だ予後不良の疾患であり、患者数も増加の一途を辿っている。病態が非常に複雑で多因子疾患であるため、根本的な治療法は見つかっていない。この状況において、心不全の病態解明は喫緊の課題であり、新規心不全病態制御因子の発見が待たれている。本研究は、心不全モデルマウスを用いて、心不全の進行による遺伝子発現の変化を時系列で追い、病態変化の過程を詳細に検証した。その結果、心不全進行の過程では、前期は酸化的リン酸化が亢進し、後半で抗酸化応答が生じていた。ヒト心不全患者の過程に当てはめると、前半が代償期で後半が非代償期であると考えられる。この病態過程を意識した治療が有効な新規治療につながる可能性がある。
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