慢性GVHDは同種移植後に生じる、全身性の自己免疫疾患様の合併症であるが、組織内でどの細胞が標的にされているかは十分に明らかでない。本研究では、血管内皮細胞が慢性GVHDのバイオマーカーでもある種々のケモカイン・サイトカインを産生することで、免疫細胞を局所に誘導し、活性化することを明らかにした。またこれらの因子を産生するのにはIFN-γが関わっており、ROCK2阻害剤がその制御に有効であった。さらに、血管内皮細胞は同種抗原/HLA class II複合体を膜上に発現するが、白血病細胞の一部からもこの複合体が出現しており、血管内皮細胞はcGVHDだけでなく、GVL効果にも関わることが考えられた。
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