研究課題
若手研究
本研究は感染性心内膜炎の発症メカニズムの解明、予防および治療の開発に繋がる知見を得ることを目的として、口腔レンサ球菌を対象とした感染性心内膜炎の起因菌と口腔内常在の比較ゲノム解析を実施した。S. mutansとS. gordoniiともに感染性心内膜炎起因菌と口腔常在菌に系統的な偏りは見られず、起因菌に偏在する遺伝子も確認されなかった。感染性心内膜炎の発症に関わる因子は特定の遺伝子の獲得または欠損ではなく、遺伝子のバリアントや発現制御領域による差異である可能性が考えられた。
比較ゲノム解析
感染性心内膜炎の発症率は3-7/10万人・年と推定されており、決して多くはないが、いったん発症すると重篤な転帰をたどり、手術や長期入院を要するために患者の負担が大きい疾患である。また、高齢者の罹患率が高いことから、超高齢化社会を迎える本邦では患者の増加が予想されており、発症メカニズムの解明や効果的な予防法の開発に取り組む必要がある。本研究は、そのための基盤となる起因菌のゲノム情報の整備および比較ゲノム解析を実施した。