研究課題/領域番号 |
22K16502
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
鍵谷 卓司 弘前大学, 医学研究科, 助教 (70772317)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リンパ節転移 / がん転移メカニズム / リンパ管システム / ニッチ解析 |
研究実績の概要 |
当該年度において、すでに独自に確立した実験手法を用いて、顕微解剖学的かつ分子解剖学的アプローチによりデータ集積を行った。 ①ヒト組織標本(肝胆道系)におけるen bloc免疫組織化学解析として、リンパ管周囲組織や他臓器組織などの空間体系をより正確に把握できるモデルを構築した。 ②透過型・走査型電子顕微鏡(TEM・SEM)を用いて、がん転移メカニズム解明に必要な研究計画書に記載したニッチ解析を行うために標本作成の準備を行った。 これらの手法により、前年度までにおもに肝周囲リンパ系について、ヒトの肝静脈リンパ系の3次元構造とフローダイナミクスについて解剖体を用いた研究を実施した。具体的にはヒト解剖体から肝臓を摘出し、リンパ管および血管マーカー(ポドプラニン、CD31)での免疫染色を行い、光学顕微鏡および立体顕微鏡を用いて観察し、ヒト肝静脈リンパ系の3次元構造を明らかにした。これにより肝内リンパ液は、中心静脈と小葉下静脈の周囲の血管外経路を流れることが示唆された。リンパ管ネットワークは、直径110μm以上の小葉下静脈の壁と肝静脈の末梢に端を発し、下大静脈まで続いており、リンパ管の密度分布は、肝静脈の末梢部で最も小さく、近位部、主幹部へと増加し、肝静脈の直径の増大と正の相関があることが明らかになった。がん転移メカニズム解明のために必要な肝内リンパ系システムを明らかにすることができた。これらの結果を国際英文誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ解析のための標本作成に難渋した。手術標本採取のための準備段階で当初想定していたよりも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、標本作成とデータ解析をさらに進めるとともに、当初予定していた手術標本作成についても準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していた実験計画よりも遅れが生じ、次年度以降へ繰り越しての使用が必要となった。
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