本研究は、大型動物での肺切除後気管支断端修復における積層線維芽細胞シートの有用性と安全性を示したものである。小動物の気管支断端モデルにて、同細胞シートが血管新生を介して気管支断端を強化させることは既に示していたが、よりヒトに近い大型動物で検証できたことは、今後の臨床応用に向けて重要な過程となる。また、実臨床における気管支断端瘻の発生率は肺全摘で4.5%であり、その死亡率は18-50%と高率である。救命できても治療に難渋し、治癒には数カ月から1年以上の時間を要することが多い。このような重大な合併症の予防法が開発されることは、肺切除を受ける患者及び医療者にとって大変意義深い。
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