良好胚胚移植で妊娠しない着床不全は生殖医療の最大の課題である。本研究は、着床の異常をきたす遺伝子改変マウスを用いて解析で着床を調節する機能的因子、特に機能的脂質の解明を行った。研究成果として、子宮のCOX2はPGE2、PGD2を介して胚浸潤を制御していること、着床不全において抑制的エピゲノム修飾であるH3K27me3の標的遺伝子発現上昇や調節因子EZH2の低下が生じており子宮内膜細胞分化と胚浸潤の過程に異常を生じていること、が判明した。着床における子宮内膜の機能的脂質としてのPGE2とPGD2の存在や、EZH2やH3K27me3を介したエピゲノム修飾による着床制御機構が示された。
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