本研究の目的はCAD/CAMレジン冠のトラブル発生についての支台歯形態について評価し、脱離の予知性について評価することである。CAD/CAMレジン冠は他のセラミックや金属を用いた歯冠修復物に比べて弾性係数が小さく、荷重に対してひずみを生じやすい傾向があることが考えられる。セメント、支台歯の材質やその違いについて注目し、荷重に対するクラウンの変形を評価することでCAD/CAMレジン冠の予後に影響する因子を特定できると考えた。 支台歯を想定したベースには金属支台歯を想定した直径22 mm、高さ11 mmのステンレス製の円柱試料、および同形態の支台築造用デュアルキュア型コンポジットレジン(ユニフィルコアEM;GC社)を用意した。クラウンを想定した厚み1 mmのCAD/CAM硬質レジンブロックを、厚み90 μmに規定したセメントで合着した。セメントには弾性係数の異なる2種類の接着性レジンセメントを用意した。試料のクラウン想定部にひずみゲージ(共和電業)を貼付し、万能試験機で荷重を加えた際のクラウン想定部の変形量を計測した。同様の形態でクラウンの破折強度についても評価した。 支台歯・セメント・クラウンの弾性係数の違いはクラウン想定試料の破折強度に有意に影響することが明らかとなった。特にコンポジットレジン支台歯に対し、比較的弾性係数の大きいコンポジット系接着性レジンセメントを用いた際、高い破折強度を示した。一方でクラウンの変形挙動に着目した試験においては、ひずみゲージの計測が安定せず、有意な差を検出することができなかった。試料の変形挙動を評価できる手法について引き続き検討を行う必要がある。
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