本研究では、口腔顔面領域の痛覚過敏発症の背景に心理社会的要因が関与していることを検索するために社会的敗北ストレス負荷ラットを用いた①うつ様行動観察実験②口腔顔面領域の機械刺激逃避閾値の変化③疼痛制御の要衝である中脳水道周囲灰白質神経細胞における電気生理学的解析の評価を行ってきた。結果として強制水泳試験及び社会相互性試験では、ストレス負荷ラットで顕著なうつ様行動を示すとともに、口腔顔面領域に痛覚過敏が惹起されることが分かった。またストレス負荷群の中脳水道周囲灰白質における興奮性シナプス伝達は、コントロール群と比較した際に興奮性神経細胞と抑制性神経細胞では異なる伝達様式の変化を示すことが分かった。
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