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2022 年度 実施状況報告書

ANGPTL2の軟骨基質破壊メカニズムの解明と変形性顎関節症治療薬の新規確立

研究課題

研究課題/領域番号 22K17253
研究機関広島大学

研究代表者

西山 沙由理  広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (70911569)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワードアンジオポエチン様因子 / 変形性顎関節症 / 軟骨 / 滑膜
研究実績の概要

TMJ-OAにおけるANGPTL2による軟骨破壊メカニズムを解析することを目的に、ヒト滑膜細胞を使用し検討を行っている。
まず、ヒト滑膜細胞に対してANGPTL2を添加し、炎症反応、基質分解酵素およびMMPsの内因性阻害因子であるTIMPsの遺伝子発現量の変化について定量PCR検討を行った。炎症反応マーカーであるIL-1β、IL-6の遺伝子発現は添加後1時間で有意に上昇し、3、6、12、24、48時間まで断時的に減少した。TNF-αは1、3時間まで優位に上昇し続け、6、12、24、48時間まで断時的に減少した。基質分解酵素であるMMP3、9、13は添加後1、3、6、12、24、48時間で優位に上昇し続けた。MMPsの内因性阻害因子であるTIMP1、2、3は添加後6時間で優位に減少した。これらの結果を基に、LILRB2中和抗体およびIntegrinα5β1中和抗体を各々添加し、抗炎症効果および基質破壊抑制効果を検討した。ヒト滑膜細胞に中和抗体を添加し、12時間後にANGPTL2を添加、6時間後に細胞を回収した。その結果、ANGPTL2により有意に亢進した炎症マーカーおよび基質分解酵素が有意に抑制された。現在、ANGPTL2添加下においてMMPs分泌機構の阻害がMAPKs、NF-kβ、AKT、JAK/STATシグナルに及ぼす影響についてwestern blot解析を行っている。
今後、MMPs分泌機構の阻害剤が滑膜細胞の細胞増殖、細胞死へ与える影響について検討する。動物実験については、ラット下顎頭高負荷モデルを用いた検討を開始したところである。阻害剤を顎関節部にシリンジにて局所投与し、2か月後の下顎頭形態をX線写真およびマイクロCTを用いて、三次元的に解析していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験計画書の予定通り、滑膜細胞における抗炎症効果および軟骨基質破壊抑制効果およびそのメカニズムの解明が進んでいる。引き続き、Integrinα5β1‐MAPKs/NF-kβ/AKT経路の詳細なメカニズムの解明、LILRB2‐JAK/STAT経路およびTIMPs‐MMPs経路を介したMMPs誘導メカニズムの解明、これら3経路の相乗効果メカニズムを解明していくとともに動物実験を進める予定である。

今後の研究の推進方策

細胞実験において、MMPs分泌機構阻害剤が滑膜細胞における下顎頭軟骨組織の破壊抑制効果を有することはほぼ確実であり、今後はその詳細なメカニズムを探索していく必要がある。
動物実験は、すでに確立されたラットの下顎頭高負荷モデルを用い、MMPs分泌機構の阻害剤の局所投与が下顎頭軟骨組織の破壊状態に与える検討について、組織染色およびCTによる解析を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

消耗品の消費量が前年と比較し減少したため次年度使用が生じた。次年度はMMPs分泌機構阻害による下顎頭軟骨組織破壊抑制効果の検討と、ANGPTL2によるMMPs誘導経路のメカニズムについて検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Longitudinal effects of estrogen on mandibular growth and changes in cartilage during the growth period in rats2022

    • 著者名/発表者名
      Kubo N., Awada T., Hirose N., Yanoshita M., Takano M., Nishiyama S., Tsuboi E., Kita D., Ito S., Nakatani A., Onishi A., Asakawa Y., Tanimoto K.
    • 雑誌名

      Developmental Biology

      巻: 492 ページ: 126-132

    • DOI

      10.1016/j.ydbio.2022.10.007.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 下顎頭の成長に伴うエストロゲンの下顎骨および軟骨への影響2022

    • 著者名/発表者名
      久保尚毅, 廣瀬尚人, 粟田哲也, 矢野下真, 西山沙由理, 壷井英里, 北大樹, 大西梓, 麻川由紀, 谷本幸太郎
    • 学会等名
      第35回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会
  • [学会発表] 関節円板前方転位モデルラットにおける下顎頭の形態学的、組織学的変化2022

    • 著者名/発表者名
      北大樹, 矢野下真, 廣瀬尚人, 西山沙由理, 壷井英里, 久保尚毅, 大西梓, 麻川由起, 谷本幸太郎
    • 学会等名
      第35回日本顎関節学会総会・学術大会
  • [学会発表] 週齢の違いがラット顎関節および血清中のSemaphorin3A発現に与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      壷井英里, 廣瀬尚人, 麻川由起, 矢野下真, 大西梓, 高野真実, 西山沙由理, 久保尚毅, 北大樹, 谷本幸太郎
    • 学会等名
      第35回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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