研究課題/領域番号 |
22K17353
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
勇井 克也 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50783875)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Contraction / Relaxation / Shock / Endocannabinoid / Endothelial cell |
研究実績の概要 |
内在性カンナビノイドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)は敗血症患者において血中濃度が上昇し、敗血症性ショックにおける血圧低下に関与することが知られているものの詳細なメカニズムは不明のままである。2-AGの機能解明は敗血症治療方法の確立に貢献する可能性を秘めている。そこで、正常ラットの摘出血管を用い、2-AGを中心とした敗血症初期に起こるWarm shock時の末梢循環の分子機構を明らかにする。まず、サイトカイン暴露下におけるラットSMAリング標本中の2-AGの定量を行うため質量分析装置DPiMS(既存装置)用いた。分析条件として0.1%ギ酸/エタノールを希釈溶液とし、[M+H]+ m/z= 379.2→287.2・CE=15Vと設定することにより定量を可能とした。また、ラットの上腸間膜動脈のリング標本作製し、organ chamber内に懸垂する。標本に一定の張力を負荷し安定させた後、収縮惹起剤(フェニレフリン)を添加し、最大収縮に達した後に2-AGを段階的に添加し、内皮細胞存在下における血管弛緩に対する影響を検討した。SMAは段階的に弛緩し、最終濃度で完全に弛緩した。2-AGに弛緩作用があることが判明したので、次に収縮惹起剤(フェニレフリン)を添加し、最大収縮に達した後に2-AGを添加し、張力変化の連続波形を解析した。2-AG負荷によって一過性収縮および弛緩反応を示さなかった。さらに、SMAの最大収縮にIL-1βを添加すると、一過性収縮と急激な弛緩の示していたことに対して、フェニレフリン収縮の30分前に2-AGを前処置し、収縮が最大に達したところにIL-1βを添加し、1時間毎の張力の変化を調べたところ、一過性収縮を示したが、弛緩は認められなかった。以上より、2-AG濃度の変化が、敗血症性ショック時の急激な弛緩に影響することが示唆された。今後、遺伝子発現の変化についても行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質量分析装置DPiMSの機器のメンテナンス時期と重なり、条件設定に時間を費やしたため、計画が遅れていたが、条件を設定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の成果とともに引き続き研究を進め、2-AGが血管に及ぼす反応について、 2-AGの阻害剤(JZL184、URB597、AM251)、TXA2やNO経路の阻害剤などを用いて、さらにサイトカインに対するの相乗効果への影響について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画が少し遅れていたため消耗品の購入が最小限になった。また、既存してた消耗品の残りを用いたため、令和5年度は、新たな消耗品の購入金額の総額を少し抑えて課題に取り組むことが出来た。次年度での予算の使用を予定通り行う。
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