研究課題
本年度は、がん性悪液質に関連するがん性心筋障害に対して検討を行った。がん患者における心疾患は、疾患の予後に重大な問題をもたらす。これらの障害が癌細胞と関連していることは確立されているが、その正確な基礎メカニズムは依然として不明である。本研究では、ラット結腸癌細胞株RCN9の癌性腹水がH9c2心筋芽細胞に与える影響を調べた。その結果、腹水は心筋芽細胞のミトコンドリア容積を減少させ、酸化ストレスを増加させ、膜電位を低下させ、アポトーシスとオートファジーを引き起こすことがわかった。腹水にはHMGB1(high-mobility group box-1)が相当量含まれていたが、HMGB1を特異的抗体で中和すると心筋細胞へのダメージが軽減されることが観察された。その結果、HMGB1は、HMGB1受容体、すなわちadvanced glycation end products受容体とtoll-like受容体-4を介して、核内因子κBとホスホイノシチド3-キナーゼ-AKTシグナルの両方を活性化し、アポトーシスとオートファジーを促進することが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
がん性心筋障害の原因として炎症サイトカインのひとつであるHMGB1が重要な役割を果たすことを明らかにした。
HMGB1によるがん性心筋障害に対して、改善をもたらす食品栄養を動物モデルを用いて検討する。
HMGB1のがん性心筋障害に対する作用を抑制する食品栄養素を検討するため、ラットがん性悪液質モデルを作製する費用を次年度に移行した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Oncotarget
巻: 14 ページ: 485~501
10.18632/oncotarget.28436
International Journal of Molecular Sciences
巻: 24 ページ: 16367~16367
10.3390/ijms242216367