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2023 年度 実施状況報告書

7テスラ超高磁場MRSによるヒト骨格筋脂肪酸の特定と代謝メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K17659
研究機関帝京平成大学

研究代表者

日置 麻也  帝京平成大学, 健康医療スポーツ学部, 准教授 (60769058)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード骨格筋脂肪酸 / 7テスラプロトン磁気共鳴分光法 / 脂質代謝 / スペクトル分解能 / 核磁気共鳴分光法
研究実績の概要

筋細胞内脂質は重要なエネルギー基質の一つとして日常生活の身体活動やスポーツ活動に利用されるが、加齢や不活動によって過度に蓄積されると、2型糖尿病の罹患リスクを高める要因になる。本研究は、2型糖尿病に対する治療法を飛躍的に発展させるために、7テスラ超高磁場プロトン磁気共鳴分光法(1H-MRS)を用いて、筋細胞内脂質に結合する脂肪酸特定と 代謝メカニズムを解明することを目的とする。異なる代謝特性を持つ若年者、高齢者、アスリート(持久系・スプリント系)を対象に、飽和・不飽和脂肪酸を特定し、運動負荷による脂肪酸動態の変化を対象間で比較し、その脂質代謝メカニズム解明を目指す。
2023年度は、以下3点を実施した。
1) 7テスラ1H-MRSを用いて、骨格筋代謝物質を計測した。この実験では、シーケンス (シム調整、磁場均一度評価)、コイルの種類・位置、測定のタイミング等を検討した。健常成人男女 (8名) を対象にヒト骨格筋の1H-MRSを実行した。
2) ヒト骨格筋と同等の脂肪酸試薬を600MHz 高分解能 (NMR) スペクトルから収集し、リファレンスを作成した。このリファレンスを基準スペクトルとし、1) の7テスラで検出したヒト骨格筋細胞内と細胞外脂質から脂肪酸 (3種類:オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸) に加え、新たにαリノレン酸、γリノレン酸、アセチル-L-カルニチン、タウリンの同定を試みた。
3)臨床用途3テスラ1H-MRSを用いて、運動負荷 (運動時間と強度) の決定、運動機器の作成、測定タイミングなどを検討する実験を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1) 前脛骨筋の代謝物質 (筋細胞内・外脂質、タウリン、トリメチルアンモニウム、総クレアチン) のスペクトルピーク分裂が正確に得られた。しかし、シム調整、磁場均一度の評価にかかる時間は対象者間で異なっていた。被験筋は下腿部筋群の中から、前脛骨筋(平行筋)にターゲットを絞り、代謝物質を収集した。これは静磁場方向と筋線維方向を平行にすることで、正確なケミカルシフトが得られることを確認したためである。
2) 600 MHz NMRにより、リファレンス (基準スペクトル) として3種脂肪酸スペクトル、αリノレン酸、γリノレン酸、タウリンのスペクトルを得た。NMRの結果から、ヒト骨格筋の3種脂肪酸スペクトル、αリノレン酸、γリノレン酸のスペクトルの同定、定量化のためには、ブロード信号を考慮したフィッテングが必要であることがわかった。
3) 3テスラ1H-MRSを用いた運動負荷実験は、共同研究施設 (明治国際医療大学) 倫理委員会より承認され、その後、実験を行った。運動時間、運動負荷、タイムスケジュールが確定した。運動機器については、初めにMR装置内で使用可能な素材で試作機を作成し、実験を行った。その後、実際に実験で使用する運動機器を作成し、検証実験を行った。

今後の研究の推進方策

前脛骨筋の代謝物質スペクトルでは、正式なケミカルシフトと分裂を得ることができた。引き続き、更なる精度上昇と安定した計測時間を目指す。また3T運動負荷の実験、データ解析、論文執筆は継続する。2024年度は、7テスラ1H-MRSを用いて運動負荷実験を開始する。7テスラ1H-MRSを用いた実験は、共同研究施設 (生理学研究所倫理委員会、明治国際医療大学) の承認を得た後、開始する。

次年度使用額が生じた理由

2023年度、本研究は順調に進んだ。2023年度は、1) 7テスラ1H-MRSを用いて、骨格筋代謝物質の計測法を確立するための実験、それら結果の学会報告、2) リファレンス作成のための600MHz NMRを用いた実験、3) 臨床機3テスラ1H-MRSを用いた実験に係る費用を捻出した。2024年度は、3テスラと7テスラ1H-MRSを用いた実験、学会報告、論文投稿を予定している。2023年度助成金と次年度(2024年度)の助成金併せて使用することで、実験遂行が可能となる。したがって、研究遂行上において大きな問題はないと考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] 運動習慣のない女子大学生における不活動時間、中高強度の身体活動量は骨格筋量の低下と関連する2023

    • 著者名/発表者名
      安齋実穂, 澤麻理亜 , 道下竜馬 , 高橋仁 , 日置麻也
    • 学会等名
      第10回日本予防理学療法学術大会
  • [学会発表] J 分裂を加味したピークフィティングによる骨格筋の 7T-MRS の脂質解析精度の向上2023

    • 著者名/発表者名
      梅田 雅宏 , 日置麻也 , 福永雅喜
    • 学会等名
      第51回日本磁気共鳴医学会大会
  • [学会発表] In vivo human 7 T 1H-MRS detected intramyocellular fatty acids2023

    • 著者名/発表者名
      Maya Hioki , Masahiro Umeda , Masaki Fukunaga
    • 学会等名
      The 8th Annual Scientific Meeting of the ISMRM Japanese Chapter
    • 国際学会
  • [学会発表] In vivo determination of human skeletal muscle fatty acids by 1H-MRS at 7 tesla2023

    • 著者名/発表者名
      Maya Hioki , Masahiro Umeda , Masaki Fukunaga
    • 学会等名
      The 70th American College of Sports Medicine
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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