持久性運動は動脈硬化や心血管疾患の危険因子である脂質異常症を改善・予防する.一方,その詳細なメカニズムについてはまだ明らかになっていない.申請者は予備実験により野生型マウスの骨格筋において,自発性運動トレーニングが善玉コレステロールであるHDLの合成に重要なABCA1(ATP- binding cassette transporter A1)の発現を亢進することを確認した. このことは運動による脂質異常症の改善メカニズムに骨格筋由来のリポ蛋白関連因子が関与する可能性を示唆する.そこで,本研究では高脂肪食摂取による肥満マウスを用いた運動介入実験により検証を行う.肥満マウスにおいて運動による血中脂質プロファイル及び骨格筋 のリポ蛋白関連因子の変動を検討し,運動が脂質異常症を改善するメカニズムに骨格筋のリポ蛋白関連因子が関与するかを明らかにする. 今年度は実験計画の通りに,マウスにおける高脂肪食摂取及び運動介入実験を行った.運動介入期間終了後,マウスから血液や組織(骨格筋,脂肪,肝臓など)を採取し,血中脂質プロファイル及び組織におけるリポ蛋白関連因子の変動を検討している.現在までの結果,高脂肪食摂取群においても運動による骨格筋ABCA1 mRNAの増加が認められた.
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