アデノ随伴ウイルス (AAV)は、侵襲性が低く搭載遺伝子の長期発現が可能であることから、難治性疾患治療薬として認可され注目されている。しかし、成人の大半はその中和抗体を持っているため患者が限定されること、大量投与による肝毒性が問題になっており、利用が制限されている。本研究では、AAVにタンニン酸(TA)、ボロン酸導入高分子を組み合わせた自己会合型AAV三元系複合体を開発し、動物実験で中和抗体回避と肝毒性低減を達成した。さらに、目的の組織への移行性を向上させるために、標的指向性分子を搭載したAAV3元系複合体を構築したところ、遺伝子導入量が向上することが細胞実験によって実証された。
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