研究課題
口腔扁平苔癬(OLP)は、口腔粘膜の角化異常を伴う原因不明で難治性の慢性炎症性疾患であり、発症頻度も比較的高い疾患である。病理学的には基底膜直下へのT細胞の浸潤を特徴とすることから、このT細胞が病因となり基底細胞が傷害の標的と考えられている。しかし、未だに病因は不明で完全治癒は期待できず、対症療法に終始するしかない。OLPは、口腔潜在的悪性疾患にも含まれており、癌化する可能性があることから、根治的な治療法の開発が求められている。最近我々は、OLPと同様に原因不明の難治性疾患であり、全身疾患である一方で唾液腺に好発するIgG4関連疾患を対象として、疾患特異的なT細胞を探索する目的で、罹患臓器に浸潤したT細胞を分離採取しシングルセルレベルでその遺伝子発現解析を行い、その病因T細胞の同定に成功した。これまでに確立したこの手法を用いて、まずはOLPと口腔癌に浸潤するT細胞を分離採取しシングルセルレベルでその遺伝子発現を網羅的に解析した。
3: やや遅れている
OLPに浸潤するT細胞については、浸潤するT細胞の絶対量が少ないことから、分離採取したT細胞でのシングルセル遺伝子発現解析には至っていない。1検体シングルセル解析を行なったが十分なデータが得られていないため、現時点では、解析手法のすり合わせを行っている段階である。しかしながら、比較対象とする口腔扁平上皮癌に浸潤するT細胞のシングルセル遺伝子発現解析は概ね終了し、現在は解析進行中である。
引き続き、OLPの罹患臓器に浸潤するT細胞を分離採取しシングルセル遺伝子発現解析を行う。
2023年度は、OLPの罹患臓器からの分離したT細胞のシングルセル解析ができなかったため、本年度に行う予定である。
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