研究課題/領域番号 |
22K18425
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池中 良徳 北海道大学, One Healthリサーチセンター, 教授 (40543509)
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研究分担者 |
野見山 桂 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (30512686)
新間 秀一 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30515896)
杉尾 翔太 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (30825344)
石塚 真由美 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (50332474)
江口 哲史 千葉大学, 予防医学センター, 講師 (70595826)
中山 翔太 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (90647629)
星 信彦 神戸大学, 農学研究科, 教授 (10209223)
平野 哲史 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (70804590)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | MITAシステム / in vivoイメージング / マイクロCT / 2光子顕微鏡 / メタボローム |
研究実績の概要 |
従来型の毒性試験法では高感度な検出法が確立されておらず、その毒性を評価することが困難な疾患がその中毒症状の場合がある。本研究で提案するMulti Imaging Toxicity Assay; MITAシステムは、従来まで実験動物の安楽死を必要としていた中枢神経の活動や代謝系の観察を、マイクロCT(コンピュータ断層撮影)やPET-CT、2光子顕微鏡、イメージング質量顕微鏡などのイメージング技術を用いることにより可視化する。それにより、連続的かつ高感度で、これまで見落とされていたAdverse Effectsを検出する。 本年度は、昨年度、CTを用いた解析実施した、有機塩素系農薬の代謝産物であるDDEをモデル化合物とし、主にメタボローム分析を実施し、バイオマーカー探索を実施した。その結果、曝露を反映するメタボロームとして、Glycine, LProline, 9Octadecenoic acid, MannoicAcid, Octanamide, L Arabitol, Ribitolなどが有意に変動しており、バイオマーカー候補として抽出する事が出来た。更に、ネットワーク解析を実施した結果、PPAR alpha遺伝子とこれらのメタボロームは関連しており、PPAR alfaを介してこれらのメタボロームが変動している事を初めて明らかにすることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、CTを用いたイメージングを実施し、薬物曝露に伴う肝肥大に対する解析手法の確立を行った。今年度は、メタボローム分析およびネットワーク解析を実施し、薬物曝露に伴うバイオマーカーの探索を実施した。特に、当該研究のメタボローム分析は、3種のプラットフォームを構築した。即ち、1:ノンターゲットメタボローム分析、2:超高感度定量的メタボローム分析、3:Mass Spectrometry Imagingによるイメージングメタボローム分析である。これら、特徴的なメタボロームプラットフォームを構築できたことは今年度の大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
毒性試験法としては、極めてチャレンジングな、イメージングによる連続観察とメタボロームによるバイオマーカー探索を引き続き実施する。 当該研究により、従来まで実験動物の安楽死を必要としていた中枢神経やエネルギー代謝系の活動の観察を、生きたまま実施可能であり、NOAELレベルの低用量長期曝露が細胞活動にどの様な影響を与えうるのか、可視化する事を目指す。また、本研究により、これまで困難であった投与期間全体を通じた連続観察や、生きた胎児に対する薬剤の直接的なモニタリング手法の確立を目指す。同じ個体を追跡する本手法は、動物愛護の観点から求められる動物数の大幅な削減にも期待できる。バイオマーカー探索について、データ取得法およびデータの解析手法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、メタボローム分析に用いる占有のLC/Q-TOF/MSを導入した。本年度は主にデータ取得を実施したが、次年度には主にデータ解析環境を整える必要がある。次年度には高性能パソコンやデータ解析ソフト等に支出するため、繰り越しを計画した。
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