研究課題
挑戦的研究(萌芽)
マカク・ヒトを対象とした研究結果を総合して、睡眠・覚醒のステートの変化と前頭極の活動が関連すること、睡眠中に、反実仮想に基づいた思考実験のようなプロセスが働いていることを発見した。本研究課題の成果に基づいて、展望的メタ認知に基づいた反実仮想と思考実験のメカニズムに関する前頭極と前外側前頭葉の役割に関する新モデルを提案した(Miyamoto, Shea, Rushworth, Trends Cogn Sci, 2023)。
認知神経科学
前頭極は霊長類の進化の過程で、ヒトを含む霊長類でとりわけ発達した、新しい状況や問題に対処するのに重要な領域である。本研究で得られた睡眠と前頭極の機能のかかわりに関する発見により、睡眠やマインドワンダリングの機能を、単なる過去の経験の想起・記憶定着だけでなく、記憶に基づいた創造的・哲学的思考まで射程に入れて研究する新しい学術体系が生み出されると期待される。来るべきAI社会において、人間が主体性・創造性を保ちながらAIを使いこなしAIと共存するための基礎研究として、精神医療・教育等の応用分野への波及が期待される。