研究課題/領域番号 |
22K18753
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
永島 壮 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (80800317)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | 表面不安定現象 / リンクル / 薄膜 / DNA / ナノワイヤ |
研究実績の概要 |
本研究は,DNAの一次元構造体である「DNAナノワイヤ」の生成と空間配置を制御する基盤技術の開発を目的とする。具体的には,硬質薄膜と軟質基板から成る固体材料の表面不安定現象により,リンクルパターンを作製する。作製したリンクルパターンを用い,DNA溶液からDNAの一次元的な自己組織化を誘導する。
本年度の研究実績は,次の通りである。マグネトロンスパッタ装置を用い,ポリジメチルシロキサン基板の表面にチタン薄膜を生成した。このとき,通常の成膜ではクラックが発生したが,成膜に先立ち基板の表面をアルゴンでエッチングすることにより,クラックの発生を抑制することができた。また,成膜後にリンクルパターンが膜の表面に自律形成した。このパターン形成は,成膜により生じる圧縮の残留応力を駆動源とすると考えられる。薄膜に対して単軸面内圧縮ひずみを付与することにより,直線状のリンクルパターン(ストライプ)が形成した。ストライプの形状や寸法は,薄膜の厚さや基板の弾性率に依存して変化した。次年度以降の研究に必要となるリンクル形状・寸法の制御指針を獲得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は,顕微鏡その場観察実験を基軸に据えた研究により,リンクルの表面性状がDNAナノワイヤの寸法や形状に及ぼす影響を明らかにすることを計画していた。しかし,上述の通り,スパッタ法により形成したチタン薄膜のクラックを抑制する方法の探索に時間を要した。その結果,チタンリンクルの形状や寸法の制御機構を明らかにした。しかし,DNAナノワイヤの作製に着手できておらず,遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,顕微鏡その場観察実験により,リンクルの表面性状がDNAナノワイヤの寸法や形状に及ぼす影響を明らかにする。具体的には,マグネトロンスパッタ装置により生成した薄膜を用いてリンクルパターンを作製する。原子間力顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いて,所望のリンクルを作製するための指針を明らかにする。作製したリンクルを用い,DNA溶液からDNAの一次元的な自己組織化を誘導することにより,DNAナノワイヤを作製する。DNAナノワイヤの形状や寸法を制御するための指針を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
DNAナノワイヤの作製と評価をはじめ,当初計画していた研究の一部を実施できず遅延が生じた。そのため,次年度使用額が生じた。
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