研究課題
光は、強度や照射領域の制御が容易であるため、トップダウン技術による微細加工においては、常に中心的役割を果たしてきた。もし、そうした光により、ボトムアップ的に形成される、個々の金属クラスターの化学組成と結晶成長を制御することが出来たら、トップダウン・ボトムアップ技術の融合により、金属クラスターをデバイスとして応用できるようになるかも知れない。しかし、そのためには、光により合成と結晶化を制御できる金属クラスターを新たに創出する必要がある。金や銀原子からなる金属クラスターの合成では、安定化のため、チオラートやスルフォネートなどを配位子として用いる。それらの中で、スルフォネートは銅の2価イオンとチオラートから合成することができ、またその合成には光が必要となる。我々はこの点に着目し、光によりスルフォネート(配位子)の合成を制御することで、金属クラスター(今回の場合は銀クラスター)の合成を制御することに取り組んだ。実験としては、金属塩やチオラートなどを含む溶液に対して蛍光灯により光照射を行った。一週間の光照射後に、赤色結晶が得られた。単結晶X線構造解析より、得られた金属クラスターはチオラートとスルフォネートによって保護された銀クラスターであることが確認された。このように、銀クラスターが、光照射によって生成し、また適切な溶媒中では比較的短時間で結晶化した。このことから、この方法にて得られる銀クラスターについては、光により、結晶成長位置まで制御できるのではとも期待される。このことを確認するため、容器に対して、限られた範囲にのみ光を照射してみた。その結果、縦に細いラインで光を照射した場合には、そのようなラインに結晶が形成された。これらの結果は、この方法にて得られる銀クラスターは確かに、光により結晶成長位置まで制御可能な金属クラスターであることを示している。
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