本研究の目的は,DNMTの活性変化を介したNOによるエピジェネティック制御を受ける遺伝子群を同定することである.そこで,種々の培養細胞にNOドナーを曝露し,発現レベルが変化する遺伝子群を同定した. その結果,1)NOは細胞株ごとに異なる遺伝子の発現パターンを変化させること,2)NOにより発現変動する遺伝子は細胞株間に共通したパスウェイに濃縮されないこと,3)NOにより発現変動する遺伝子はがんの発症や悪性化に関わるものが多いこと,が明らかとなった.以上の結果より,NOはDNA脱メチル化を誘導し,細胞ごとに異なる遺伝子の発現を広範に変化させることで,がんの発症・悪性化を促進する可能性が示唆された.
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