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2022 年度 実施状況報告書

超偏極MRSとDREADDによるアストロサイトイメージングバイオマーカー開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K19393
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

高堂 裕平  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (60593564)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2024-03-31
キーワードアストロサイト / 磁気共鳴スペクトロスコピー / 超偏極MRI / DREADD
研究実績の概要

アストロサイトは高等な生物であるほどに神経細胞に対する脳内の存在比率が高くなり、脳内で重要な役割を担っていることが明らかになりつつある。しかし、神経細胞と異なり電気活動を示さないため、活動性の指標はカルシウム濃度に基づいて行われ、マクロな視点でのアストロサイト活動の評価は困難である。したがって、マクロな評価が必要となるヒト脳病態において、アストロサイトがどのように関与しているかは未知の部分が多い。
本研究の目的は、アストロサイトの脳内における活動の意義を明らかにするために、アストロサイトの活動性を反映するバイオマーカーを確立することである。そのため、マカクザル・マウスのアストロサイトのカルシウム濃度をDREADDで操作し、このときの脳内環境の変化を、A.イメージングバイオマーカー(磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、ポジトロン断層撮像(PET)、超偏極MRSないしCEST)、B. 体液バイオマーカーで明らかにする。本研究で得られたバイオマーカーは今後アストロサイト機能を反映する新たなPETリガンド開発の際の基盤データとなる。
2022年度には超偏極装置を用いて1-13Cピルビン酸の超偏極プロトコルの確立を行った。続いてマウスを対象に超偏極実験のプロトコールの最適化、覚醒下MRS実験系の最適化を実施し、DREADDによるアストロサイトのカルシウムの操作を行う実験系を確立した。麻酔下であるが、DREADD操作下で超偏極実験に成功し、ピルビン酸と乳酸のシグナルの変化を検出することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度はサルとマウスでの比較を行う予定であったが、サルでのDREADDアストロサイトの操作は、サルの導入価格の高騰により計画を修正し、マウスで実験計画を進めることとした。2022年度にはDREADDによるアストロサイトのカルシウム操作の系の確立、覚醒下MRS・CESTの系の確立を行った。R5年度の覚醒下超偏極MRSの準備として、麻酔下での超偏極MRS実験を実施し、DREADDによるカルシウムの操作で13Cピルビン酸と13C乳酸のシグナルの変化をとらえることができた。マウスの実験はR5年度の計画も進めることができて当初の計画以上に進展したが、サルの計画に変更が生じたため、表題の区分と判断した。

今後の研究の推進方策

核磁気共鳴を用い信号雑音比を10000倍に増加させる超偏極MRS手法を用いてこれまで測定不能であった乳酸・ピルビン酸のイメージングを実現する。乳酸はアストロサイト機能を反映する可能性が示唆され、アストロサイト機能バイオマーカーの有力な候補となる。本研究では、生理的な条件下でのバイオマーカー創成に向け、覚醒下での超偏極MRS実験の実施を目指す。
R5年度は覚醒下での超偏極実験のプロトコール確立を行い、DREADDによるカルシウム操作と併用しアストロサイトの機能バイオマーカーの開発を進める。並行してPETでのアストロサイトマーカーの開発も進めていく。

次年度使用額が生じた理由

当該年度には超偏極実験系の検討において安定したデータが得られたため予定よりも使用動物数が若干少なく済んだことにより次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて使用することで、当該年度に実施した検討にて確立した評価手法を用いた本試験を例数を増やして翌年度以降に実施し、得られる成果の強化を目指す。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件)

  • [雑誌論文] A quantitative in vivo imaging platform for tracking pathological tau depositions and resultant neuronal death in a mouse model2022

    • 著者名/発表者名
      Kimura Taeko、Ono Maiko、Seki Chie、Sampei Kazuaki、Shimojo Masafumi、Kawamura Kazunori、Zhang Ming-Rong、Sahara Naruhiko、Takado Yuhei、Higuchi Makoto
    • 雑誌名

      European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging

      巻: 49 ページ: 4298~4311

    • DOI

      10.1007/s00259-022-05898-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Machine Learning Based Approach to Discrimination of Tauopathies Using [18F] PM‐PBB3 PET Images2022

    • 著者名/発表者名
      Endo Hironobu、Tagai Kenji、et al.
    • 雑誌名

      Movement Disorders

      巻: 37 ページ: 2236~2246

    • DOI

      10.1002/mds.29173

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Neurometabolite Levels and Relevance to Central Sensitization in Chronic Orofacial Pain Patients: A Magnetic Resonance Spectroscopy Study2022

    • 著者名/発表者名
      Terumitsu Makoto、Takado Yuhei、Fukuda Ken-Ichi、Kato Eisuke、Tanaka Sei
    • 雑誌名

      Journal of Pain Research

      巻: Volume 15 ページ: 1421~1432

    • DOI

      10.2147/JPR.S362793

    • 査読あり
  • [学会発表] 加齢・認知症病態の理解につなげる脳代謝MRS/超偏極イメージング2023

    • 著者名/発表者名
      高堂裕平
    • 学会等名
      第25回日本ヒト脳機能マッピング学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Brain energy metabolism and glial cells in dementia2022

    • 著者名/発表者名
      高堂裕平
    • 学会等名
      NEURO2022
    • 招待講演
  • [学会発表] 超偏極MRSおよびH-MRSによるトランスレーショナルリサーチ2022

    • 著者名/発表者名
      高堂裕平
    • 学会等名
      第5回基礎と臨床をつなぐMR研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 超偏極MRによるエネルギー代謝イメージング:From mice to Human2022

    • 著者名/発表者名
      高堂裕平
    • 学会等名
      DNP研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Combining MRS and PET to elucidate the pathophysiology of Aging brain2022

    • 著者名/発表者名
      Yuhei Takado
    • 学会等名
      International Society for Neurochemistry
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 13C同位体を用いたイメージング手法による脳エネルギー代謝研究2022

    • 著者名/発表者名
      高堂裕平
    • 学会等名
      第13回日本安定同位体・生体ガス医学応用学会大会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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