研究課題/領域番号 |
22K19574
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
三木 敏生 日本大学, 医学部, 教授 (80845305)
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研究分担者 |
太向 勇 日本大学, 医学部, 助手 (20836556)
堀江 真史 金沢大学, 医学系, 准教授 (60732659)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 細胞間水平移動 / 網羅的遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ミトコンドリアの細胞間水平移動のメカニズムについて、特にミトコンドリアの移動がどのように開始されるのかについて解明し、細胞間コミュニケーションを制御するための知見を得ることである。これにより、がん細胞の耐性獲得の阻止や酸化ダメージを受けた組織の修復を目的とする新しい治療方法の開発が期待される。本研究では、レンチウイルスベクターを用いて遺伝的に蛍光ラベルしたミトコンドリアを持つ細胞株を用いる。この実験系により、ミトコンドリアを受け取った細胞と受け取らなかった細胞をフローサイトメーターを用いて分別することが可能になり、それぞれのトランスクリプトームを網羅的に解析して、ミトコンドリア移送開始の契機となるシグナルを探求する。令和4年度は、予備実験としてDsRed、mCherry、TurboRFP、mKOkの4種類の異なる赤色蛍光タンパクのミトコンドリアへの移送とラベル効率について検討した。その結果、一般的によく使われている Discosoma sp由来の赤色蛍光タンパク(DsRed、mCherry)は細胞内において凝集塊を作成する傾向があるため、本研究においては偽陽性をきたす可能性があるという知見を得た。 また、予備的にフローサイトメーターを用いて分別した細胞のRNAseq解析を行い差次的遺伝子発現の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、当初の研究計画通り遺伝的に蛍光ラベルしたミトコンドリアを持つ細胞株を用いた実験系の確立、予備的RNAseqなどを行い、予定通り順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、RNAseqにより得られた差次的発現遺伝子データを解析し、その結果からミトコンドリア移送に関わると思われる遺伝子の同定を行う。選抜した候補遺伝子の機能を探索するため、multi-shRNA法および発現ベクターを用いた遺伝子導入により機能欠失/機能獲得 (LOF/GOF)実験を行い、機能的遺伝子の同定およびシグナル伝達経路を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は、新型コロナ感染の影響により共同研究者との対面作業を行うことができず旅費等の執行を見送った。令和5年度は、移動制限の解除などに伴い対面によるRNAseq解析によるミトコンドリア移送に関わる遺伝子の同定等解析作業を行う予定としている。また、その結果をもとにLOF/GOF実験による機能的遺伝子の同定を行う予定としている。そのため、予算は、多種のshRNAプライマーの作成や細胞表面タンパクの同定に用いる抗体の購入に充てる予定である。
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