妊娠高血圧腎症(PE)におけるレニン・アンジオテンシン系(renin-angiotensin system:RAS)の亢進は本質的な病態機序である。しかし、RAS阻害剤は胎児毒性のために妊娠中に投与ができない。そこで、既存のRAS阻害剤をミセル化ナノ粒子に搭載して胎盤通過性を排除することで、胎児への毒性懸念のない、PEに対する革新的治療薬の開発を目指した。東大工学部および東大創薬機構との連携のもと、RAS阻害剤搭載ミセル化ナノ粒子の設計を行った。既存のRAS阻害剤の活性をそこなわないと想定される部位にポリエチレングリコール(PEG)鎖を付加し、ナノ粒子を結合したミセル型RAS阻害剤を合成した。
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