研究課題
当科ではFDG-PETの白血球などの炎症性細胞にFDGが取り込まれる点に着目し,薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)や放射線性顎骨壊死(ORN),びまん性硬化顎骨骨髄炎 (DSO)などの難治性顎骨骨髄炎の診断と治療の評価に対してFDG-PET/CTの有用性を検討してきた.MRONJやORNに対するFDG-PET/CTでは骨髄炎と周囲軟組織にFDG 集積が認められ,中央の腐骨部により高いFDG集積を認めることから,壊死骨中に浸潤した炎症性細胞の活動性を反映していることが示された.骨髄炎の活動性を定量化する方法として,悪性腫瘍と同様にStandardized uptake value (SUV)が用いられる.SUVとは投与した放射能が体内に均一に分布したと仮定した場合の単位体積あたりの放射能量を1として,関心領域の比を示すものであるが,様々な要因で変動するため半定量的な評価方法とされる.臨床では関心領域のSUV最大値であるSUVmaxが用いられており,歯性由来の顎骨骨髄炎や他の骨髄炎と比較してMRONJのSUVmaxは有意に高く,炎症の活動性が高いことが示された.また当科ではORNやMRONJの外科的治療時に術前後の高気圧酸素療法(HBO)を実施している. HBOでは血中溶解酸素向上,活性酸素による殺菌,循環障害の改善などにより顎骨骨髄炎,骨壊死への治療効果が期待できるが,難治性骨髄炎に対する消炎効果を客観的に示した報告はない.そこでMRONJやORNに対する外科的治療の術前に20回のHBOを実施し,HBO前後でFDG-PET/CTを撮像することで骨髄炎の変化を観察した.ORNではHBO 前後でSUVmaxの変化は認められない一方で,MRONJでは有意に低下しており,HBOによるMRONJに対する消炎効果がFDG-PET/CTによって初めて示された.
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Methods Mol Biol.
巻: 2755 ページ: 77-89
10.1007/978-1-0716-3633-6_5.
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